野村 政宏教授の研究グループのフォノンの流体力学的性質を用いたグラファイトテス ラバルブに関する研究成果が、英国科学誌「Nature」のオンライン版に掲載されました

2024/10/30

 

東京大学 生産技術研究所のシン コウ 特任助教(電気系工学専攻 2022年度博士)と野村 政宏 教授らは、50 K付近で、テスラバルブ構造を用いた熱整流効果の発現に成功しました。同位体を除去したグラファイトを用いて、フォノンポアズイユ流れを
形成し、フォノンの流体的性質を利用することで実現しました。これまで、テスラバルブで、液体と電子について整流機能が確認されていましたが、固体の熱伝導に初めて拡張されました。熱整流効果を発現するためには、フォノンの流体的な性質を用いる必要があり、ポアズイユ流れを形成するためのグラファイトの高純度化や構造設計が重要であることを明らかにしました。この成果は、放熱材料として普及が始まっているグラファイトが、熱機能デバイスとしても活用できることを示しました。高性能半導体デバイスをはじめとする熱管理を課題として抱える電子機器などに広く波及効果が期待できます。

本研究成果は、2024年10月16日に英国科学誌「Nature」のオンライン版に掲載されました。

<論文>
X. Huang, R. Anufriev, L. Jalabert, K. Watanabe, T. Taniguchi, Y. Guo, Y.Ni, S. Volz, and M. Nomura,
“A graphite thermal Tesla valve driven by hydrodynamic phonon transport,”
Nature
DOI:https://doi.org/10.1038/s41586-024-08052-1

 

 

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