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若手研究者紹介:伊藤 恵理 准教授

 

若手研究者紹介:059

 

航空宇宙工学専攻  土屋・伊藤研究室 伊藤 恵理 准教授

 

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【経歴】

(学歴)

平成143       大阪府立大学工学部 航空宇宙工学科 卒業

平成163       大阪府立大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 修士課程修了

平成199       東京大学大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 博士課程修了

(職歴)

平成164       日本学術振興会 特別研究員(DC1

平成1810     欧州航空航法安全機構(ユーロコントロール)実験研究所 博士研究員

平成194       電子航法研究所 航空交通管理領域 研究員

平成2010     オランダ航空宇宙研究所 客員研究員

平成234       電子航法研究所 航空交通管理領域 主任研究員

平成244       東京大学大学院 客員研究員

平成253       NASA エイムズ研究所 客員研究員

平成2610     電子航法研究所 航空交通管理領域 主幹研究員

平成2910     東京大学 非常勤講師

平成284       海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所 航空交通管理領域 主幹研究員

平成2910     日本学術会議 連携会員・若手アカデミー会員

平成312月 南洋理工大学 客員研究員

令和元年11月 東京大学大学院 准教授

海上・港湾・航空技術研究所電子航法研究所とのクロスアポイントメントとして、航空交通管理領域主幹研究員を兼任

 

【研究について】

航空交通管理、いわば空の交通整理は、航空機の運航において不可欠な存在であり、極めて重要な学術分野です。私どもの研究室では、航空交通管理を、ハードウェア、ソフトウェアだけでなく、航空機の運航にかかわるさまざまなプレーヤーを含む人間社会といった、多様な要素から構成される社会技術システムと捉えます。そして、既存のインフラをうまく動かしながら適切な自動化を実現しつつ、安全性と効率性を向上させ、環境への負荷も低減する、システム設計と評価にかかる研究を進めています。

 

 a)羽田・成田空港等の到着・出発・空港面統合システム

首都圏空港等における到着・出発・空港面の航空交通の輻輳を解消するため、統計手法、機械学習、待ち行列モデル、最適化手法、シミュレーション評価を組み合わせた体系的手法を構築し、到着・出発・空港面の航空交通を統合して、安全かつ効率的に運用し、航空機の燃料消費量も削減する航空交通管理システム設計を進めています。産学官の連携と国際共同研究を推進し、社会実装を目指した研究開発に取り組んでいます。

 

b)地球に優しいフライト

航空機の燃料消費量を削減し、管制運用と両立できる航空機の運用方式を研究しています。そのひとつとして、航空機の降下角を固定して継続的に降下するFixed-flight Path Angle FPA)降下を考案し、エアラインが参加するフライトシミュレータ実験等による検証や、産学連携による運航支援アプリの研究開発等を行なっています。

 

c)ASEAN地域のレジリエントな空域運用

将来的に航空交通が最も集中するASEAN地域は、各国が管轄するさまざまな形状の空域から構成されており、航空交通のデータ構造も複雑です。そこで、南洋理工大学 ATMRIAir Traffic Management Research Institute)らと共同で、ASEAN地域の航空交通の要となるシンガポールチャンギ国際空港を対象に、レジリエントな空域運用と渋滞を緩和する航空交通管理システムの設計に取り組んでいます。

 

d)航空交通管理における学際的発展と新規開拓

航空機の運航と航空交通管理は、さまざまな理系の学問分野だけでなく、法学、経済学、心理学といった分野も横断する学際的な研究分野です。航空機が飛行中に記録した気象情報等のデータ活用にも期待されています。エアラインや空港会社等とも連携し、航空交通管理における学際的発展と、新規分野の開拓を目指しています。

 

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【今後の抱負】

欧米には航空機メーカーが多くあり、国際基準策定も中心となっています。しかし、これからの航空交通管理の中心はアジア環太平洋地域になっていきます。アジアの国々と連携し、日本の航空関係者も巻き込んで、アジア環太平洋地域の航空輸送に貢献できるよう、学術の裏づけに基づく航空交通管理を実現したいです。さらに、航空交通管理から生まれる新規分野の開拓にも取り組みたいです。

 

【URL

土屋・伊藤研究室:https://www.flight.t.u-tokyo.ac.jp/

researchmap : https://researchmap.jp/eriitoh_researchmap

 

他の記事はこちら:【第7回インタビュー】航空宇宙工学専攻 伊藤恵理先生

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