プレスリリース

固体中の磁気モノポールが生み出す電磁気効果を観測 —古典電磁気学を超えた新現象・新デバイス開拓にさらなる期待— : 物理工学専攻 金澤直也 助教ら

 

電磁気学では、電気の力の源である粒子(陽子や電子)に対応する磁気粒子、すなわち磁気モノポール、は存在しないと仮定して体系化されており、実際に磁気モノポールは未だ観測されていません。磁気の力は電子の自転(スピン)によって生み出されているため、磁石のN極とS極を引き離して、磁気の力の湧き出し口や吸い込み口となる粒子を作り出すことはできません。しかし、電子の幾何学的位相を利用すれば物質中にのみ磁気モノポールを発現させることが理論的には可能と予測されており、その実現が期待されてきました。
 東京大学大学院工学系研究科の金澤直也助教、理化学研究所創発物性科学研究センターの十倉好紀センター長、永長直人副センター長、岩佐義宏チームリーダーらの研究グループは、キラルな磁性体におけるトポロジカルスピン構造が物質中に磁気モノポールを生み出し、磁気モノポールが対消滅するトポロジカル相転移の際に大きな電磁気効果が現れることを観測しました。
 磁気モノポールを創り出すことによって、電磁気学の基本方程式の変更に伴う新現象の開拓に道筋が立ち、応用面でも新しい磁気情報転送技術など革新的な磁気デバイスを開発できる可能性が生まれました。

 

 

 

 

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Abstract URL:http://www.nature.com/ncomms/2016/160516/ncomms11622/full/ncomms11622.html