プレスリリース

酸化亜鉛界面を最高品質半導体レベルに向上させ、新たな量子相を観測-トポロジカル量子コンピューターの研究に新たな風- : 量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻 小塚裕介特任講師、川﨑雅司教授

 

異なる物質を組み合わせたヘテロ界面は、トランジスタや発光ダイオードなどの機能性デバイスとして応用されてきた。特に、砒化ガリウムのヘテロ界面では最も品質のよい電子が形成され、約30年前に低温で特殊な量子相が発見された。この量子相は、トポロジカル量子コンピューター と呼ばれる、計算エラーを低く保ちつつ飛躍的な計算速度の向上が期待できる、新たなコンピューターへ応用が可能であると考えられているが、その特性は長らく不明であった。

東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻の川﨑雅司教授が率いるグループは、マックスプランク固体研究所のJurgen Smet(ヨルグン・シメット)博士 のグループと共同で、世界に類を見ない極めて高品質な酸化亜鉛ヘテロ界面を作製し、砒化ガリウム以外のヘテロ界面でこの特殊な量子相の観測に初めて成功した。今回の発見では、酸化亜鉛には砒化ガリウムにはない制御性があることが明らかとなり、酸化亜鉛がこの量子相の理解を進展させるのに非常に重要な材料であることを示した。

本研究成果は、英国科学雑誌『Nature Physics』の電子版(平成27年3月23日版)に掲載された。なお、本成果は東京大学大学院新領域創成科学研究科のJoseph Falson(ジョセフ・フォルソン)大学院生、理化学研究所創発物性科学研究センターのDenis Maryenko(デニス・マリエンコ)博士特別研究員、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の小塚裕介特任講師、東北大学金属材料研究所の塚﨑崎敦教授との共同研究により得られたものです。

 

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