プレスリリース

室内光で働く腕章型やわらか体温計の開発に成功 ~電力の送電不要、発熱を音で知らせる-新型センサーへの応用が期待~: 電気系工学専攻 染谷隆夫教授

 

JST 戦略的創造研究推進事業において、東京大学の桜井 貴康 教授、染谷 隆夫 教授らの研究グループは、室内光で発電し、音で発熱を知らせる、有機集積回路を用いた腕章型フレキシブル体温計の開発に成功しました。

近年、脈拍や体温などの生体情報を常時モニタリングするアプリケーションに注目が集まっています。このような、人体に直接接触するセンサー・デバイスには、従来の電子部品にはなかったような装着感のない柔らかさや、ケーブルが不要(ワイヤレス)な構造が求められます。さらに、電池交換のようなメンテナンスが不要であることも重要です。

本研究グループは、室内光で発電し、音で発熱を知らせる腕章型フレキシブル体温計の開発に成功しました。開発したフレキシブル体温計は、有機集積回路、温度センサー、フレキシブルな太陽電池とピエゾフィルムスピーカーで構成されます。温度センサーは、検知温度が設定可能な抵抗変化型のセンサーで、高分子フィルム上に作製されているため、装着感のない柔らかさを実現しました。また、有機集積回路とピエゾフィルムスピーカーを用いることで、フレキシブルな電子ブザーを開発しました。有機集積回路を用いて音を発生させたのは、世界で初めてです。さらに、さまざまな明るさの部屋でフレキシブル体温計を使用できるようにするための電源回路も開発しました。このフレキシブル体温計は人の上腕部に取り付けられ、体温を常時モニターします。そして、体温が設定したある温度を超えると「発熱している」と判断して、周囲に音で知らせる機能を持ちます。この一連の動作は全て、室内光で発電される電力で賄うことができるため、電池交換などのメンテナンスは不要です。このような電源回路を有機トランジスターだけで実現したのも世界で初めてです。

今回の研究の原理は、温度以外にも、水分や圧力などさまざまなセンサーに応用することが可能であり、幅広い用途への応用が期待されます。

 

本研究成果は、2015年2月22日(日)~26日(木)に米国サンフランシスコにて開催の「国際固体回路会議(ISSCC)2015」で発表されました.

 

someya_20150223.jpgのサムネール画像

 

詳細はこちらからご覧ください。