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2026年9月24日、バイオエンジニアリング専攻 酒井・西川研究室 Wei Yichengさん(D3)が2026年国際MPS学会アジア太平洋サミット・第9回オルガノイド / Organ-on-a-Chip会議において最優秀ポスター賞を受賞されました。
2026年国際MPS学会アジア太平洋サミット・第9回オルガノイド / Organ-on-a-Chip会議 最優秀ポスター賞
International MPS(Micro-Physiological System)Societyが主催するアジア太平洋地域の学術会議において、優れたポスター発表を表彰するために設けられた賞です。ポスター発表の研究内容、独創性および学術的意義などについて審査が行われ、最優秀ポスター発表として選出されました。
受賞された研究内容・活動について
「大孔径in vitro腸管共培養モデルにおけるマイクロプラスチック移行の粒径依存的制限」
近年、マイクロ・ナノプラスチック(MNPs)は環境中のみならず生体試料からも検出されており、ヒト健康への影響が懸念されています。特に、経口摂取されたMNPsが腸管を介して体内へ移行する可能性が注目されていますが、比較的大きなマイクロプラスチックの腸管移行については十分に明らかになっていません。一方、従来のin vitro腸管モデルでは、細胞層を支持培養する多孔質膜の孔径が小さいため、粒子の移行が腸管上皮だけでなく、培養膜そのものによって物理的に制限され、実際の腸管移行性を過小評価する可能性があります。
本研究では、このような培養膜による物理的制限を低減するため、30 µmナイロンメッシュ上でCaco-2細胞と腸管筋線維芽細胞を共培養した大孔径in vitro腸管モデルを構築しました。構築したモデルでは、安定した経上皮電気抵抗(TEER)と低いFITC-dextran透過性が確認され、大きな開口部を持つ支持体上でも機能的な腸管上皮バリアを形成・維持できることを示しました。これにより、培養膜による物理的な影響を低減しながら、マイクロプラスチックの腸管移行を評価することが可能となりました。
このモデルを用いた48時間の曝露試験では、1 µmマイクロプラスチックの移行が確認され、従来の培養膜を用いたモデルと比較して有意に高い相対移行率を示しました。この結果は、従来の培養膜がマイクロメートルサイズの粒子移行を物理的に制限する可能性を示しています。一方、12 µmおよび22 µmのマイクロプラスチックでは、ナイロンメッシュモデルにおいても移行が検出されず、腸管上皮バリアによる強い粒径依存的な移行制限が示されました。これらの結果から、マイクロプラスチックの腸管移行を評価する際には、粒子サイズに加えて、培養支持体の物理的特性を考慮することが重要であると考えられます。
今後は、より生理学的な腸管環境を再現するため、本モデルに人工粘液層を導入します。これにより、粒子の保持や物理化学的特性の変化、上皮細胞へのアクセスなど、粘液-粒子相互作用がMNPsの腸管移行に与える影響を検討します。さらに、多細胞腸管モデルへ発展させることで、粒子サイズと腸管微小環境がMNPsの体内移行をどのように制御するかを明らかにし、将来的なヒト健康リスク評価への応用を目指します。
今後の抱負・感想
本研究を進めるにあたり、酒井 康行 先生、酒井・西川研究室の皆様からいただいた継続的なご指導とご支援に心より感謝申し上げます。また、学会で研究内容について貴重なご意見やご助言をいただいた先生方、研究者の皆様にも深く感謝いたします。今回このような賞をいただけたことを大変光栄に思います。
今回の受賞を励みに、今後は本研究で構築したin vitro腸管モデルをさらに発展させ、MNPsの腸管内挙動および体内移行に関する理解を深めていきたいと考えています。将来的には、得られた実験データをヒト健康リスク評価につなげ、MNPsの健康影響を評価するための研究基盤の構築に貢献することを目指します。