共有
東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 柴崎研究室と株式会社IHIは、船舶・海洋の双方向通信システムであるVDES※1 の社会実装時における効果検証に関する共同研究を開始しました。今回の共同研究では、今後の普及促進に向け、株式会社IHI が現在事業化に向けて技術開発を進めている衛星VDES について、船舶動静データの分析や物流推計・分析モデル構築等の研究実績/ノウハウを有する柴崎研究室が協力し、船舶から収集される既存の運航データ(速度や航路等)や貨物データなどの収集・分析や、VDES社会実装時の経済的効果および環境への影響の定量的な評価を通じて、VDESの普及がもたらす経済的効果および環境効果を明らかにすることを目的としています。また、VDES導入環境の整備に向け、上記のようなVDESの経済的・環境的効果の評価に加え、新たなサービスやユースケースの提案、国際標準化動向の把握などを目的とし、また日本発の研究グループとして国内外の学界・産業界に向けて発信するため、学内外の関心のある研究者で構成する研究会を立ち上げることとしています。
※1 VDES(VHF Data Exchange System)
次世代AIS と呼ばれるVDESは、VHF 周波数帯を利用した海洋上の通信システム。船舶・海洋を対象とした船舶間の双方向デジタル通信ネットワーク構築を目的としている。2019年に衛星が送受信できるVHF 周波数帯が割り当てられ、現在、世界各国でVDES 衛星を使った実証が進められている。国内でも、「経済安全保障重要技術育成プログラム(Kプロ)」で地上系を含むVDES システムの技術実証が開始されている。
2028年に予定されているSOLAS 条約(海上における人命の安全のための国際条約)改正後、社会実装が進むことが期待されている。VDESの市場規模は2028年のSOLAS条約改正に向けて年々増加傾向にあり、2023年には約1.5億ドル、2030年には約4.2億ドルに達する見込み(https://www8.cao.go.jp/ocean/policies/mda/mda.html)である。

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