プレスリリース

2019.01.11

放射線がん治療におけるDNA切断反応を実時間で観測 ―“熱い”電子が切断反応に果たす役割― : 原子力専攻 山下真一准教授ら

 京都大学大学院工学研究科分子工学専攻 馬峻 博士(日本学術振興会特別研究員)、櫻井庸明 同助教、関修平 同教授らのグループは、米国オークランド大学化学科 Anil Kumar 博士、Michael D.Sevilla 同教授、Amitava Adhikary 同准教授、大阪大学産業科学研究所 室屋裕佐 准教授、東京大学大学院工学系研究科 山下真一 准教授、フランスCNRS Sergey A. Denisov 研究員、Mehran Mostafavi 同教授らと共同で、放射線によるDNA損傷の過程のうち、およそ10億分の1秒以下のごく短時間で引き起こされる超高速反応の直接観測に世界で初めて成功しました。この結果、放射線によって飛び出した電子が、十分に冷える前の“熱い”状態で、DNA・RNAを構成するリボチミジン(tRNAなどに修飾塩基として含まれる)にくっつくこと、およびこの結果生じたイオン(ラジカルイオン)は、この「熱さ」によって励起(れいき)された状態となり、直接結合を切断する作用があることを明らかにしました。本研究は、放射線によるがん細胞中のDNA破壊を効果的に行い、正常な細胞内の放射線によるDNA損傷を防ぐ・修復するための新しい化学反応制御法の開発に役立つことが期待されます。
 本研究成果は、2019年1月9日に国際学術誌「Nature Communications」にオンライン公開されました。

プレスリリース本文 : /shared/press/data/setnws_201901111341152449630589_739338.pdf

Nature Communications : https://www.nature.com/articles/s41467-018-08005-z

京都大学 : http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/190109_1.html