『次世代ジルコニア創出社会連携講座』を更新 ―ジルコニアセラミックスの高性能化に貢献―

2025/07/30

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(以下「東京大学」)と東ソー株式会社(以下「東ソー」)は、従来のセラミックス素材の概念を覆すジルコニアセラミックスの飛躍的な特性向上実現、特に高靭化技術のさらなる強化を目指し、2020年に東京大学に設置した『次世代ジルコニア創出社会連携講座』の設置期間を更新しました。

 

ジルコニアは高い強度や靭性を持つ代表的なセラミックス材料であり、さまざまな分野で応用されています。東ソーは世界で初めて高純度ジルコニア粉末を工業化し、各種構造部材、審美性に優れる歯科材料など、さまざまな用途への利用を進めることで、ジルコニア市場の発展に寄与してきました。

東京大学と東ソーは、過去20年にわたって共同研究を実施し、ジルコニアの結晶相変態機構の解明、画期的な超高耐久性ジルコニア焼結体の開発など世界に先駆けて多くの成果をあげています。また、2020年に設置した『次世代ジルコニア創出社会連携講座』では、特に高靭化、高速焼結技術の観点からジルコニアセラミックスの潜在能力を引き出し、革新的な材料開発を進めてきました。

このたびの社会連携講座の更新により、これまでに確立した微細構造解析手法や計算設計、靭性向上技術をさらに高度化させ、従来を上回る超高靭性、耐衝撃性を備えた次世代ジルコニアの創出を目指します。

東京大学と東ソーは引き続き『次世代ジルコニア創出社会連携講座』を通じて、ジルコニアセラミックスの特性向上の実現と、高度な材料開発研究を推進できる人材の育成・輩出を目指します。今後も社会課題の解決に向けた技術開発を加速し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

※ ここでは、温度変化により結晶構造が変化するメカニズムのこと

 

【社会連携講座の概要】

講座名

次世代ジルコニア創出社会連携講座

研究目的

次世代ジルコニアの研究開発および人材の育成

次世代ジルコニア技術を積極的に産学連携研究へ展開することによる産業界の課題解決

研究内容

超高靭性、耐衝撃性を備えたジルコニア焼結体・粉末の開発

研究体制

東京大学:最先端ナノ構造解析・新規焼結体開発

東ソー :粉末開発

研究統括者

東京大学大学院工学系研究科 幾原 雄一 東京大学特別教授

設置期間

2025年7月1日から2028年6月30日(3年間)

 

【関連情報】

・プレスリリース「東京大学に『次世代ジルコニア創出社会連携講座』を設置」(2020/07/01

https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/foe/press/setnws_202007011430490666289512.html

 

・プレスリリース「しなやかで強いセラミックスの開発に成功 ―金属に匹敵する高い靭性を実現―」(2023/06/28

https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2023-06-28-001

 

・プレスリリース「『ZgaiaTM 1.5Y-HT』の研究成果がアメリカ総合科学学術雑誌に掲載」(東ソー株式会社、2023/06/29

https://www.tosoh.co.jp/news/release/2023/20230629.html

 

 

 

 

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