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工学部/工学系研究科 プレスリリース

クラボウと東京大学が3Dプリンティング技術に関する 共同研究を推進~産学連携によりメタマテリアル技術の確立を目指す~

 

クラボウ(資本金 220億円、本社 大阪市中央区、社長 藤田晴哉)化成品事業部と国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(東京都文京区、研究科長 染谷隆夫、以下「東京大学」)は、共同研究契約を本年4月に締結し、建設用3Dプリンティング技術の研究開発を行っております。7月からは、実際に建設用3Dプリンターを用いた造形物を製作するなど取り組みを本格化し、造形物の内部構造をデザインして、強度や靭性を高めるなど新たな物性を獲得するメタマテリアル技術(注1)をセメント系材料で確立することを目指し、共同研究を推進します。

 

 

fig1

 

1.取り組みの背景

クラボウは、建設業界で問題となっている人手不足や生産性向上という課題解決を目指して、昨年5月から建設用3Dプリンティング事業(注2)を展開しており、建築構造物の工法検証や景観材などの造形物の製作および販売を行っております。特に景観材の製作では、精緻なデザインを再現する高精度な3Dプリンティング技術と、強度を高めるための構造設計の両方が必要となることから、意匠性と安全性の両立が求められるため、強度向上のための技術開発や評価、検証に取り組んでおりました。

また、東京大学社会基盤学専攻 コンクリート研究室では、独自に開発した数値解析技術を活用して、セメント系材料のメタマテリアル技術に関する研究を2020年から行っておりましたが、数値解析によるシミュレーションの結果を再現する造形精度に課題がありました。そのため、より精緻な内部構造をデザイン設計・造形できる建設用3Dプリンターを活用することで当該技術の確立を目指し、高精度な3Dプリンティング技術を有する共創パートナーを探索しておりました。

そのような中、クラボウと東京大学は双方が持つ技術を融合させることでセメント系材料を使用したメタマテリアル技術の研究開発を行い、建設用3Dプリンターによる造形物の安全性向上への貢献と、材料コストおよび環境負荷低減に取り組むことで合意しました。セメント系メタマテリアル技術の確立を目指し、産学連携による共同研究を推進します。

 

2.取り組み概要

(1)研究内容について

今回の共同研究では、以下の通り建設用3Dプリンターによる造形物の構造性能評価技術の開発と、数値シミュレーションに基づくメタマテリアル技術の開発と実証を行うことで造形物に使用する材料が有する物性の大幅な向上や、全く新しい物性の獲得を目指します。

3Dコンクリートプリンティングの特性(特殊な材料・配合、層間の存在による力学特性の異方性、耐久性への影響など)を考慮した上での、数値解析に基づく造形物の構造性能評価技術の開発

・非線形構造解析システムおよび人工知能を活用した、新たな力学特性を有するセメント系メタマテリアルの開発および実証

この取り組みにより、従来のセメント系材料のみでは獲得できない物性を有する新たな材料の実現や、 内部構造をデザインすることで軽量化を図りつつ強度・靭性を高めるといった、3Dプリンティング技術の新たな活用が期待できます。

fig2

 

(2)役割とスケジュールについて

ア.役割

クラボウ:建設用3Dプリンターに関する技術情報の提供

3Dプリンティングによる造形物の試作および構造のデザイン設計、材料配合、成形

それぞれの工程での精度と課題をフィードバック

東京大学:メタマテリアル技術の数値解析および解析データの提供

イ.スケジュール

2022年  :材料・部材実験の計画・実施、メタマテリアル技術の数値解析

2023年以降:メタマテリアル技術の実証実験を計画

 

3.今後の展開

今後は、2023年度を目途にメタマテリアル技術の確立に向けて共同研究を進めていきます。

クラボウは、本技術をまずは建築・土木分野で活用し、ノウハウを蓄積することで建設業界での課題解決に取り組むとともに、さらに高い居住性や安全性などが求められる住宅分野での活用も検討してまいります。

東京大学は、メタマテリアル技術を通してセメント系材料の新たな機能や価値を創出し、当該技術の社会実装を目指してまいります。

さらに、メタマテリアル技術だけでなく、将来的には、建設用3Dプリンターに利用可能で、かつCO₂削減に貢献できる低炭素型のセメント系材料の開発も共同で行っていく予定です。

 

(注1)メタマテリアル技術

メタマテリアル技術とは、物質の内部構造をデザインすることで、強度、靭性、遮音性、断熱性などの大幅な向上や圧縮ひずみ硬化特性の発現といった、材料自体では獲得できない新たな物性を獲得する技術です。セメント系材料においての技術確立には、高精度な3Dプリンティング技術と、狙った物性を獲得するための数値解析の両方を兼ね備える必要があります。

 

(注2)クラボウの建設用3Dプリンティング事業進出の背景(リリース)

2021526日 

「セメント系材料を用いた建設用3Dプリンティング事業を開始
3Dプリンターで立体造形物を製作し、建設業界の生産性向上やデザインの多様化ニーズへの対応を目指す~」

https://www.kurabo.co.jp/news/newsrelease/20210526_1032.html

 

プレスリリース本文:PDFファイル