プレスリリース

電池の充電を速くする"中間状態"を解明:化学システム工学専攻 山田淳夫教授

 

スマートフォンや電気自動車が急速に社会に浸透していく中、電池の充電を速やかに行いたいという要望は強まるばかりである。ここ数年学会では、電気を貯める物質において、充電状態でも放電状態でもない“中間状態”が存在し、これが反応中に現れることによって充電を早く行うことができる、という学説がいくつか発表されてきた。しかし、そもそもこのような“中間状態”が本当に存在するのか、存在したとしてもどのような場合に現れるのか、という漠然とした議論にとどまっていた。当然ながら、“中間状態”の具体的な性質については、完全にベールに覆われていた。

東京大学工学系研究科の山田淳夫教授、西村真一特任研究員らの研究グループは、このような“中間状態”を完全に単離する合成手法を開発してその存在を如実に示した上で、様々な性質について詳細に調査した。その結果、電子の並びが縞状に規則正しく模様を描き、これを邪魔しないようにイオンが自発的にその位置を柔軟に変えていることを発見した。このような状況下では、通常観測される充電状態や放電状態よりも電子やイオンがはるかに高速に移動することができるため、充電時間を短くすることにつながっていると考えられる。

今後、このような“中間状態”の現れやすい材料の開発や充電条件を明らかにすることで、電池の充電時間を格段に短縮できる可能性がある。

本成果は、ドイツの化学雑誌「Angewandte Chemie International Edition 」オンライン版に2015 年6 月12 日に掲載された。

 

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