工学部訪問記:西大和学園 No.2

工学部訪問記:西大和学園 No.2

工学部訪問記:西大和学園 |No.1|No.2|No.3No.4No.5

No.2 金銅俊矢

はじめに

この訪問記は「スーパーサイエンスセミナー」の活動として、10月12日に東京大学工学部の見学をさせていただき、その様子をまとめたものである。

概要

(1)東京大学
東京大学は1868年4月12日に、東京開成学校と東京医学校を合併、旧東京開成学校を改組し開校した。当時は法・理・文の3学部、旧東京医学校を改組し医学部を設置、東京大学予備門を附属していた。総長一人、副総長3人、教授1400人、助教授1258人、講師135人、助手1261人、教諭・養護教諭 42人、事務係職員1458人、技術係職員917人、医療係職員1087人。

 

(2)工学部
1868年4月12日に設立され、土木工学科、機械工学科、造船学科、電気工学科、造家学科、応用化学科、採鉱及冶金学科を設置した。教授・助教授・講師315名、助手254名、事務官・技官233名、臨時職員322名で17学科ある。

 

(3)金子成彦教授研究室
研究内容としては各種機械およびシステムで発生する振動騒音や動的問題の制御に関するものである。現在の中心テーマは、小型分散エネルギーシステムの中核を成すマイクロガスタービンの要素研究およびその遠隔制御システムに関する研究および生体内部で起こっている現象を生体外で発生させる技術の開発である。また、振動騒音事例データベースの構築による予見的設計手法の研究や新しい工業教育手法(PBL:問題設定解決型教育)についても研究を行っている。

 

(4)光石衛教授研究室
研究内容としては、力覚情報の帰還をはじめとする操作環境の伝送、多自由度屈曲多機能能動鉗子の開発などである。

 

(5)山下勲教授研究室
研究内容としては、機械工学・電気電子工学・情報工学をバックグラウンドとし、マイクロサイズのデバイスをつくることを通し、さまざまな分野の科学に対し工学的アプローチで貢献することや、システムをマイクロ化するときの規範・体系を構築することである。

本論

(1)金子成彦教授研究室
ここではガスタービン等についての紹介、説明を受けた。そのとき受けた説明は小型化したタービンによって将来、家庭で家から出るゴミを使った発電をできるようにする研究である。家から出るごみを有効に利用できるのは素晴らしいことである。
しかし、いくら燃やすものがごみであっても、二酸化炭素が出ることに代わりはないので、そのあたりの環境対策を考えていくべきである。

 

(2)光石衛教授研究室
ここでは手術用ロボット等の説明を受けた。遠隔操作が可能で、そのロボットが受けたわずかな反動をセンサーが感知することによって、操作している人間に正確に伝わってくる。遠隔操作が出来るというのは、将来医者のいない場所で手術が出来るので便利だが、突発的な事態が起きた時に対応できないことが問題である。そこで考えられるのが、そのロボットに監督をつけるということだが、それではロボットの意味が薄い。まだまだ改善点が多そうである。
人工関節をはめるために骨を正確に削るロボットは、人間が削るよりも正確に削ることが出来る。これといった大きな欠点も無く、実用性は非常に高いだろう。

 

(3)山下勲教授研究室
ここでは虫を参考にした小型ロボットの仕組み等を紹介していただいた。小型ロボットの一部が虫を参考にしているとは驚きだった。ただ、紹介してもらったものの中には個人的にあまり実用的でないものもあったように感じた。
しかし、いろいろな電子機器の小型化が進めば持ち運びは便利になる。それに色々なものが小型化できるようになると、将来今まで収納に不便してきたものも、スペールをとらずに収納することができるので、早く色々な研究を進めて欲しい。

まとめ

どれも非常に実用性があり、とても興味深い研究ばかりだった。機械の小型化についても、当然便利な反面それ相応のリスクはついてくる。その辺の限度を見極めることも大切だろう。医療用の機械も、精密な作業が行えるようになれば良い面もたくさんあるだろうが、やはりそれ相応のリスクはある。発電をいかに効率的に、低リスクに抑えようとしても現段階では限度がある。それに周りが機械であふれすぎているのにも問題がある。一度何らかの形、たとえば洪水で壊れてしまった等の理由で町中の生活に必要な機械が使えなくなると、その地域の人たちは、おそらく全く生活ができなくなるだろう。
なんでも機械化すれば便利になるというのではなく、これを機械化していざというとき困ることはないだろうか、と考える必要があるだろう。そもそも機械というのは、今までは便利になれば便利になるほど、環境等に与えるリスクも大きくなってきているので、それを改善していくことも重要であろう。できるだけ環境等に与えるリスクを減らし、それでいて便利な機械を生み出していく、いわゆる「自然との共存」を今まで以上に考えた機械の発明がこれからの時代では要求されていくので、いかにしてその課題をクリアするかが今後の課題だと考えられる。
この条件を満たし、なおかつ人類にとっても有益になる機械を生み出していくことは非常に難しいが、これをなしえない限り、地球上のあらゆる生命は滅ぶであろう。

 

(日本語のみ)