工学部訪問記:西大和学園 No.1

工学部訪問記:西大和学園 No.1

工学部訪問記:西大和学園 |No.1|No.2No.3No.4No.5

No.1 森脇翔太

はじめに

この訪問記は科学技術・理科、数学教育を重点的に行う高等学校が指定される、スーパーサイエンスハイスクールの活動として平成16年10月12日に東京大学を訪問したときの様子をまとめたものである。

概要

東京大学は1868年4月12日、東京開成学校と東京医学校を合併、旧東京開成学校を改組し、法・理・文の3学部、旧東京医学校を改組して医学部が設置され、帝国大学として創設。その後明治30年6月、大学名を東京帝国大学と改称し、さらに昭和22年10月東京大学となる。創設から現在まで数々の研究センターを設置し発展してきた。現在は全体で15466人もの学生がここで勉学に励んでいる。

東京大学工学部 見学

最初に私が訪れた研究室は、遠隔操作で手術をするというロボットの研究を行っていた。手術といえば医師と助手が何人も付き添ってその場で状況判断しながら行うというイメージがあったのだが、ロボットで、しかも遠隔操作で手術をすると聞いて驚いた。
しかし、どちらかというとそれは「本当にそれで安全にできるのか」という疑いの念を含んだ驚きであった。確かに人間の手より機械の方が正確というイメージはあるが、さらにそれを遠隔操作で行うというのである。
ところが説明を聞いていくうちにこの研究は素晴らしいと思うようになった。『できる限り人の手で行った場合と同じ感覚に近づけている』ということ、『指先の感覚はもちろん、患者の体温、血液の流れまで感じられる』ということ、そして『遠隔操作ができることにより医師がその場所にいなくても手術が可能になる』ということ。まだ実用レベルではないらしいがこれが実用されれば、間違いなく医療の仕方が変わるだろう。

 

次に虫の生態を利用したロボットを製作している研究室を訪問した。
ゴキブリを代表とする虫は、はるか昔から変わらず生息しているので、虫の生態をロボットにすることで昆虫がどんな行動をするかを知ることができる。印象に残ったのが六本足ロボットと触覚ロボットである。六本足は昆虫の基本だが、実はこの6本ということに秘密が隠されていた。昆虫はすべての足をつけて歩行することはなく、常に3本足で歩いているのである。2足歩行である人間と違い、重心が3本の足によってつくられる三角形の中に入っているだけで歩行できるという便利な仕組みなのである。
次に見させていただいたロボットは、チョウをモデルにした触覚ロボットである。このロボットは、メスが出すフェロモンがオスはどのように感じているのかを知るためのものだった。これはロボットの先に触覚をつけ、離れた場所からメスのフェロモンを出す。するとその触覚がフェロモンを感知し、ロボットがメスの場所に円を動くような形ではあるが近づいていったのだ。これにより、オスは普段円を描きながら旋回していて、メスのフェロモンを感知するとその方向に進んでいくという行動パターンを知ることができた。どちらも素朴な発見といえばそうかもしれないが、こういうことが新しい技術に生かせるのだろう。

 

最後に訪れたのが「バイオマスガス」の研究をしている研究室である。バイオマスガスとは、生ごみなどから発生するガスのことで、なかなか知られていないのではないだろうか。しかし、このガスを燃やすことでタービンを回し、電気を作ることが可能である。従来はある場所にガスを集めて熱し、電気を供給していたために効率が悪かったが、ここで工夫されていることはこのタービンを各家庭に取り付けるということである。これにより効率がかなり良くなり、お湯を沸かすなど用途は多彩だ。さらに利点であることは、石油よりも何倍も自然にやさしいということだ。新しい資源として十分利用できるのではないだろうか。

まとめ

私は今まで、大学は高校の延長線だと考えていた。しかし、それは大きな間違いであった。大学では人それぞれが好きな勉強をし、好きな研究をする。だから、高校までの勉強は基礎中の基礎をやったにすぎず、そして前提であるということに気づかされた。
それと同時に、大学は自分の人生を決める大切な場所であることもわかった。今、まだ私は将来の自分像を描けていないが、今回の経験を参考にしながら後悔をしないような道を進んでいきたい。

 

(日本語のみ)