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2021.07.29

【若手研究者紹介:055】化学生命工学専攻 加藤研究室 福島和樹 准教授



【経歴】
2006年1月–5月 米国ボイジ州立大学化学科 訪問研究員
2006年4月–2007年3月 日本学術振興会特別研究員(DC2)
2007年3月 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士後期課程機能科学専攻 修了(博士(工学))
2007年4月–2008年3月 日本学術振興会特別研究員(PD)*学位取得による資格変更
2007年6月–2008年3月 米国スタンフォード大学化学科 客員研究員
2008年4月–2009年3月 米国スタンフォード大学化学科 博士研究員
2009年4月–2011年9月 米国IBMアルマデン研究所 博士研究員
2011年9月–2016年3月 山形大学大学院理工学研究科機能高分子工学専攻 助教
2016年4月–2018年6月 山形大学大学院有機材料システム研究科 助教
2018年7月–現在 東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻 准教授

【研究について】
「分解」をキーワードとした機能材料の開発
我々の生活の様々なところでプラスチック・高分子製品は使用されています。一方で、海洋プラスチック問題や化石資源の使用、二酸化炭素の排出など地球環境問題にもプラスチックは大きく関わっています。しかしながら、プラスチックを排除して現代生活を維持することは困難です。このため、非化石資源・再生可能資源由来の循環型材料の開発や、分解性材料、リサイクルに関する研究が世界中で進められています。
私の研究は生分解性ポリマーを基盤とした機能材料開発とポリマー分解の化学をリサイクルや有用物質へ変換するアップサイクリングに展開することです。(*ポリマーは高分子と同義)
生分解性ポリマーとは自然環境中や生体内で分解され低分子量化し、最終的に二酸化炭素と水などまで分解され無害化されるような高分子を指します。代表的なものとして、トウモロコシなどのでんぷん、糖質を原料とできるポリ乳酸が有名で、私も学生の時に研究をしていました。現在の研究はそのような分解性を示す骨格を「幹」として官能基を「枝」として導入し、様々な機能を示すポリマーを合成しています。これまでは、ドラッグデリバリー、人工血管・ステント、抗菌剤などのバイオマテリアルへの展開を中心に「分解性機能材料」の開発を行ってきました。現在は環境調和型材料や循環型高分子への展開にも取り組んでいます。その取りかかりとして、再生可能資源を出発物質とした機能性・生分解性ポリマーの開発を進めています。
一方、サーキュラーエコノミーの考え方からは、現存する石油由来高分子を上手く活用することも重要です。元の素材、元の用途に戻すリサイクルに加えて、有用物質への変換、アップサイクリングも最近では注目されています。そこで、飲料ボトルに使用されるポリエチレンテレフタレートの有用物質への変換に取り組みました。これらの多くは芳香族構造と反応性基を持っているため、芳香族フィードストックとして高機能材料のビルディングブロックへの展開が期待されます。



【今後の抱負】
機能性・分解性ポリマーとプラスチックリサイクル・アップサイクリングの融合や、加藤教授の専門とする分子の自己組織化・配列技術を導入することで、より高機能でスマートな材料が得られると期待しています。これらの研究を通じて、循環型社会の構築に貢献していきたいと思っています。

【WEB】
研究室:
http://kato.t.u-tokyo.ac.jp/index.html