プレスリリース

東京大学と首都高速道路、道路インフラにおけるローカル5Gの活用に関する社会連携講座を開設

作成者: Public Relations Office|Jul 24, 2024 5:00:00 AM

 

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(所在地:東京都文京区、研究科長 加藤 泰浩、同研究科中尾研究室教授 中尾 彰宏、以下「東京大学」)と首都高速道路株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長 寺山 徹、以下「首都高」)は、災害時の安定したインフラ確保および平常時の円滑な道路交通の維持のため、次世代通信基盤として期待されるローカル5G(注1)の活用に関する社会連携講座(注2)を2024年6月1日に開設し、共同研究を開始しました。

 

ローカル5G活用事例

 

本講座は、首都高における次世代通信基盤としてローカル5Gの持続可能な整備・運用に向けた研究を行うこと、また、Beyond5G時代に活躍する若手研究者を育成し、未来社会の情報通信学術分野のリーダーとなるよう教育研究を図ることを目的としております。

 

本講座を契機とし、ローカル5Gを活用したユースケースの拡大、および首都高速道路でのローカル5Gの整備を目指します。ローカル5Gの公共性を鑑み、両者が協力し、研究に留まらない実用化を推進してまいります。

 

社会連携講座(共同研究)概要

社会連携講座名

(和文)都市高速×次世代通信:未来のインフラ構築に向けた統合アプローチ

(英文)Urban expressways × Next-generation communication

    : Integrated approach for future infrastructure

研究題目:高速道路における次世代通信基盤構築に向けた研究

研究実施者:東京大学 及び 首都高

代表教員 :中尾 彰宏 教授(東京大学中尾研究室 教授)

研究期間 :2024年6月1日~2027年5月31日(3ヶ年) 

 

社会連携講座(共同研究)詳細

経緯:

東京大学中尾研究室が開発したソフトウェア小型統合基地局は、ソフトウェアにより無線通信の速度等を柔軟にカスタマイズでき、また汎用的なハードウェアを用いた構成により安価にネットワーク構築可能なことから、ローカル5Gの利活用促進に寄与することが期待されています。

 

図1 ソフトウェア小型統合基地局(左)、およびその利用構成図(右)

 

一方、首都高は『中期経営計画2024-2026』(注3)において「6つの重要テーマ」を定め、「⑤技術開発・DXの推進」の一要素として、災害時に確実に情報収集する強固な次世代通信基盤の開発を掲げています。また、平常時の円滑な道路交通の維持を目的とした業務の高度化・効率化も必要不可欠です。

このような状況の下、次世代通信基盤の一つとしてローカル5Gは非常に有用であると考えられ、東京大学と連携して活用を検討していくこととしました。

 

想定課題

  • 災害時の通信インフラとしての更なる信頼性向上
  • 平常時の活用方法(ユースケース)の拡大
  • ネットワーク構築コストの低減

 

内容

  • ソフトウェア小型統合基地局の設置・運用に関する研究
  • 通信不感地域におけるローカル5G活用に関する研究
  • 災害発生時におけるローカル5G回線のリダンダンシー確保に関する研究

 

図2 ローカル5Gを活用した研究イメージ

 

東京大学中尾研究室のこれまでの取り組み

東京大学中尾研究室では、未来社会を根底から支え「人類のライフライン(生命線)」となる『次世代サイバーインフラ』の創成に関する研究を行っております。次世代サイバーインフラは、情報通信インフラにコンピューティングの概念を取り込んだものであり、その実現に向けて、「Beyond5Gの情報基盤技術・応用技術」「ネットワークの仮想化・ソフトウェア化」「国際・産学官連携における社会実装」の研究開発に日々取り組んでおります。

 

首都高のこれまでの取り組み

首都高では、2019年に制度化され今後さらなる普及が期待されるローカル5Gに着目し、高速・大容量のデータ通信が可能な自営無線の構築にむけた研究に取り組んでまいりました。2022年度より首都高独自の共同研究及び総務省実証事業の枠組みを活用し、首都高速道路上の一部区間で実証実験を行いました。実証実験の結果、線状の敷地に対してローカル5G通信エリアの構築や隣接事業者との電波干渉対策に関する多くの成果を得ることが出来ました。また、災害時の安定したインフラ確保や業務の高度化・効率化に向けて次世代通信基盤の技術開発、ユースケースの拡大に取り組んでおります。

 

〈コメント〉

・本社会連携講座代表教員 中尾 彰宏(東京大学中尾研究室 教授)

人間の基本的な社会活動はコミュニケーションに支えられており、いまや情報通信インフラの果たす役割の重要性は疑う余地がありません。今後、サイバー空間と現実世界(フィジカル空間)が融合する未来において、そのライフラインとなる『次世代サイバーインフラ』の一つとして、ローカル5Gには大いに期待しています。実フィールドを持つ首都高と共同研究を行うことで、ローカル5Gの実用化へ大きな一歩を踏み出したいと考えています。

 

・首都高代表者  寺山 徹(首都高速道路株式会社 代表取締役社長)

首都高では、これまでの実証実験によりローカル5Gの通信エリア構築について技術的な課題を解決してきました。大規模災害時の迅速な緊急輸送路確保のため、映像等による現地状況把握が必要です。東京大学との共同研究を通じて、高速・大容量のデータ通信を自営無線で構築することにより、次世代の都市高速道路への進化を目指します。

 

〈注釈〉

(注1)総務省「ローカル5G導入に関するガイドライン」令和元年12月、令和58月最終改訂

https://www.soumu.go.jp/main_content/000897566.pdf

(注2)社会連携講座・社会連携研究部門(東京大学)

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/research/orgs-projects/d04_07.html

(注3)首都高グループ 中期経営計画2024-2026の策定について

https://www.shutoko.co.jp/company/mmenterprise/

 

 

 

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