マテリアル工学科

統合の工学が切り拓く

マテリアル工学は、金属、セラミックス、高分子等のあらゆる材料の科学と工学の最前線にある学際的分野です。社会基盤・デバイス・医療など多岐に亘る分野において、科学技術のブレイクスルーの多くが、それまでに無かった優れた機能・特性を有する材料の開発によってもたらされてきました。
 そして人類喫緊の課題である持続可能な社会の実現は、マテリアル工学に大きく依っていると言って過言ではありません。より優れた機能を有する各種電子デバイス、これまでにない耐久性・耐環境性を有し社会の安全安心を支える構造材料、人類の健康を支える医療材料や医薬品、それらを低環境負荷で製造する新規プロセス、さらにこうした材料を設計・開発する上で最適化された指針を与える理論計算など、マテリアル工学の貢献が望まれています。
 材料の設計・開発においては、量子レベルからマクロスケールに亘る広範な組織制御こそが鍵であり、技術的課題の解決という工学的側面のみならず、基礎学術的理解が不可欠です。もしあなたが工学分野に興味を抱き、社会の未来に貢献したいと考えているのでしたら、ぜひ私たちマテリアル工学科・専攻のことを調べてみてください。新しい学問、新しい産業、新しい社会への道が開かれているはずです。

教員紹介

分野・コース

  • A

    A:バイオマテリアルコース

    「未来の医療技術を創り出す鍵は、マテリアル工学にある」と私たちは考えています。ナノテクノロジー・材料科学を医学応用したナノ医療技術は、薬を特定の臓器に送り届けるドラッグデリバリーシステムや、人工生体分子を体内で機能させるバイオ医薬といった次世代医薬品のキーテクノロジーとなっています。病気の兆候を早期に検知し、ICT・AI技術と連携して予測的に介入する先制医療・スマートヘルスケアの実現には、バイオマテリアルサイエンスに立脚した革新的な医療機器の創製が不可欠です。バイオマテリアルコースでは、生体(バイオ)と材料・デバイス(マテリアル)に関わる基礎科学から、従来の学問の枠を超えた医工融合領域まで多様な研究・教育を行っています。マテリアルテクノロジーをイノベーション創出の起点とし、健康・医療を中心とした未来社会の課題解決に繋がるサイエンス・エンジニアリングの実践を目指しています。

  • B

    B:環境・基盤マテリアルコース

    我々の身の回りにある建造物や輸送・運搬機器は、安全性・信頼性・高機能性はもちろんのこと、熱効率やカーボンニュートラルといった環境への配慮も求められています。材料を「作る」「使う」「再利用する」というマテリアルのライフサイクル全体を俯瞰し、社会の強靭化と持続可能化に貢献するマテリアル開発・生産について学ぶのが環境・基盤マテリアルコースです。本コースでは、マテリアルの特性向上・新機能発現に向けた原子構造・微細組織制御、プロセス構築、信頼性設計から始まり、地球環境や資源循環を考える上で必要なライフサイクルアセスメントや環境調和型プロセスについて学ぶことで、人間・社会の安心・安全の実現、さらには地球環境にも優しいモノづくりを実現するためのマテリアルやプロセス、社会システムの創成を目指しています。

  • C

    C:ナノ・機能マテリアルコース

    現実空間とサイバー空間を高度に融合し人々の生活をより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現在において、Alを駆使したシステム構築だけでなく、基盤となる高機能デバイスの開発なくしてさらなる進展には繋がりません。このような高機能デバイス開発の鍵となる、原子・分子等ナノスケールレベルで高度に設計・制御したナノマテリアルについて学ぶコースです。最先端Siトランジスタの開発は、材料科学のイノベーションが鍵だと言われるように、ナノマテリアルは、量子コンピュータ・パワーデバイス・センサー・環境発電等、今やあらゆる高機能デバイスのベースとなっています。ナノ・機能マテリアルコースでは、材料量子力学、固体物性学、デバイス材料工学等の基礎学問に加え、マテリアルズインフォマティクス等のデータサイエンスを学ぶことで、デバイスに組み込まれるナノマテリアルのもつ物理的・化学的な特徴を引き出し、従来不可能だった機能の実現を目指しています。

教育

マテリアルの構造と機能についての基礎知識、各種マテリアルの合成方法、および、目的の機能に応じたマテリアル設計・製造プロセスの基礎を身につけることを目標に教育を行っています。2年A1A2タームでは、「導入」という位置づけにおいて、各コース共通で重要となる基礎科目を中心に受講します。3年S1S2タームまでにマテリアルの「基礎」を習得し、A1A2タームにはマテリアル各論ならびにプロセスに関する講義を受講し「応用」への比重を移しマテリアル工学の各分野全体を体系的に学びます。4年では、それまでに学んだことを活用して1年間の卒業研究に挑戦し、卒業論文にまとめることで、上記目標を達成するようカリキュラムが組まれています。

進路

2019〜2023年度

 
マテリアル・化学関連 25%
電気・電子関連 19%
エネルギー・機械・重工関連 11%
大学・官庁・研究所関連 11%
その他 34%

 

主な就職先

 

マテリアル・化学関連

日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所、UACJ、住友金属鉱山、旭化成、AGC、東レ、京セラ、三菱ケミカル、住友化学、住友電気工業、フジクラ、三菱マテリアル、JSR、ブリヂストン、信越化学工業、富士フイルム、花王、アステラス製薬、武田薬品工業、JX金属  etc.

 

電気・電子関連

日立製作所、富士通、日本電気、東芝、ソニー、三菱電機、パナソニック、シャープ、キヤノン、ニコン、古河電工、東京エレクトロン、デンソー、NTT、日本IBM  etc.

 

エネルギー・機械・重工関連

トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スズキ、三菱自動車、SUBARU、三菱重工、川崎重工、IHI、コマツ、豊田自動織機、関西電力、北陸電力、東京ガス、ファナック  etc.

 

大学・官庁・研究所関連

東京大学、東北大学、東京理科大学、物質・材料研究機構、経済産業省、総務省、国土交通省、特許庁、鉄道総合技術研究所、電力中央研究所、ファインセラミックスセンター  etc.

 

その他

NTTデータ、ソフトバンク、日本ユニシス、ANA、JR東海、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、三菱商事、住友商事、伊藤忠商事、JAL、三菱総研、野村総研、大和総研、TBS、サイバーエージェント、Google、フリュー  etc.