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2019.02.25

【若手研究者紹介:018】都市工学専攻 環境質リスク管理研究室 飛野智宏講師



経歴
2006年3月 東京大学工学部都市工学科 卒業
2008年3月 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士課程 修了
2011年3月 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程 修了
2011年4月 東京大学環境安全研究センター 特任研究員
2014年4月 東京大学環境安全研究センター 助教
2018年4月- 東京大学工学系研究科都市工学専攻 講師

<研究について>
環境中に存在する細菌や古細菌といった微生物は非常に多様な機能を有し、動物の体内から地球規模まであらゆるスケールでの物質循環の要を担っています。その機能は、私たちの生活や都市活動においても積極的に活用されています。私が現在研究対象としている活性汚泥もその一つです。活性汚泥は、多種多様な微生物が凝集したフロックと呼ばれる塊が懸濁した泥状の液体で、我々が日々排出する汚水や工場廃水の処理に用いられています。廃水に含まれる種々の汚濁物質は、活性汚泥中の微生物群集が有する多様な機能により分解され、一定の水準を満たす水へと変換されて環境に還されています。およそ100年前に開発された活性汚泥法は、その後も基本的なプロセスに大きな変更はなく、頑健で優れた工学的プロセスです。
一方で、主役である活性汚泥中の個々の微生物機能およびその相互作用については、まだまだ明らかになっていません。工学的プロセスとして、経験的なノウハウに基づいて種々の制御方法が確立されてきたものの、プロセス性能の鍵を握る活性汚泥中の微生物生態への理解は後追いのまま、未解明の部分が多く残されています。
近年、クオラムセンシングという微生物間の情報伝達機構として知られる現象が活性汚泥内でも生じており、汚泥の性状や処理性能に関連していることが報告されています。現在、私は膜分離活性汚泥リアクター中でのクオラムセンシングが、膜の目詰まりに及ぼす影響についての研究を進めています。最新の精密質量分析計を用いた情報伝達物質の検出/探索を進めながら、クオラムセンシング関連遺伝子の多様性および遺伝子発現解析を行っています。どんな時にどんな微生物機能がクオラムセンシングによって制御されているのかが分かれば、これを活用して、活性汚泥法に限らず生物学的水処理プロセス全般のプロセス制御の高度化を図れるのではないか、と考えて研究を進めています。

 

 

<今後の抱負>
生物学的水処理プロセスは、微生物生態学と工学的応用とが融合する領域です。近年発展を遂げている解析技術を駆使して水処理プロセス内で微生物生態への理解を深化させるとともに、センシング技術、機械学習・人工知能といったツールを活用して水処理プロセス制御の高度化を目指したいと考えています。

環境質リスク管理研究室:http://envrisk.t.u-tokyo.ac.jp/hp/