プレスリリース

2018.04.02

マイクロ波光子を吸収せず検出することに成功~マイクロ波単一光子の量子非破壊測定を実現~:物理工学専攻 河野 信吾(D2)、先端科学技術研究センター 中村 泰信教授ら

電磁波のエネルギー最小単位である光子の測定や検出は、次世代のコンピュータとして期待される量子コンピュータの制御に関わる基盤技術として注目されています。東京大学先端科学技術研究センターの中村泰信教授、東京大学大学院工学系研究科河野信吾博士課程学生、および東京医科歯科大学教養部越野和樹准教授らの研究グループは、理化学研究所創発物性科学研究センターとの共同研究により、マイクロ波単一光子の量子非破壊測定に世界で初めて成功しました。
従来型の光子検出器は、飛来した光子を吸収してそのエネルギーを電気信号に変換し、検出します。この従来型検出方法では光子自体が検出と同時に消滅してしまうため、それを光子の検出以外に利用することはできません。そのため、光子の飛来の有無の情報のみを取得し、光子を吸収せずに反射する、「量子非破壊測定」と呼ばれる方法が提案されています。光子の量子非破壊測定は、近赤外光子において2013年に実証されましたが、相対的にエネルギーが4~5桁小さなマイクロ波光子の測定はこれまで実現されていませんでした。今回、本研究グループは、飛来するマイクロ波単一光子の有無を超伝導回路上の量子ビット素子に蓄えられる量子情報に変換することにより、マイクロ波単一光子の量子非破壊測定を実現しました。
今後、本研究で開発した技術は、超伝導量子ビット素子間で量子情報をやりとりする量子ネットワーク技術や量子センシング技術につながると期待されます。
本研究の一部は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)「ERATO中村巨視的量子機械プロジェクト」(課題番号:JPMJER1601、研究総括:中村泰信)、日本学術振興会 科学研究費助成事業および文部科学省「博士課程教育リーディングプログラム」事業「フォトンサイエンス・リーディング大学院」による支援を受けて行われました。本成果は、2018年3月12日(英国時間)に英国科学誌「Nature Physics」オンライン版に掲載されました。

 

プレスリリース本文: /shared/press/data/setnws_201804021303357551689071_028363.pdf

Nature Physics:https://www.nature.com/articles/s41567-018-0066-3

先端科学技術研究センター:http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/pressrelease/2017/20180313release_rcast_ja.html

科学技術振興機構(JST):https://www.jst.go.jp/pr/announce/20180313/index.html