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西林仁昭教授が第34回井上学術賞を受賞されました

 

2018年2月2日、システム創成学専攻 西林仁昭教授が、第34回井上学術賞を受賞されました。

井上学術賞は、自然科学の基礎的研究で特に顕著な業績を挙げた50歳未満の研究者に対して、関係36学会及び関係者からの候補者の推薦を受けて選考を行い、毎年5名以内を選出し贈呈するものです。贈呈式は2018年2月2日に実施されました。

 

 

 

 

<受賞された研究・活動について>
受賞研究:遷移金属窒素錯体を利用した触媒的窒素固定反応の開発

授賞理由:アンモニアは生命維持活動に必須な人類にとって極めて重要な化合物である。20世紀初頭に工業的な合成法として「ハーバー・ボッシュ法」が開発された。この方法は高温高圧の極めて厳しい反応条件が必要であると共に、石油・石炭・天然ガス等の化石燃料を原料とし、人類が使用する全エネルギーのうち数%以上を使用するため、より温和な反応条件で進行する次世代型窒素固定法の開発が求められている。科学者が解決すべき最重要検討課題に対して、西林仁昭氏はピリジン骨格を含むPNP型ピンサー型配位子やN-ヘテロサイクリックカルベンを含むPCP型ピンサー配位を有する窒素架橋二核モリブデン錯体を分子触媒として利用することで、常温常圧の極めて温和な反応条件で進行する触媒的アンモニア生成反応の開発に成功した。また、ピロール骨格を含むアニオン性PNP型ピンサー型配位子を有する鉄およびコバルト窒素錯体を分子触媒として用いた温和な反応条件で進行する触媒的アンモニア及びヒドラジン生成反応の開発に成功した。さらに、窒素分子の窒素—窒素三重結合の切断を経由する新しい反応機構を経由して進行する高効率な触媒的アンモニア生成反応を開発することにも成功した。達成した一連の研究成果は、飛躍的な触媒活性の向上に成功し、化石燃料や大規模設備を使用せずに、簡単で小規模な装置で霞(かすみ:空気と水)からアンモニア合成が実現可能であることを示すと共に、省エネルギープロセスでの次世代型窒素固定法の開発実現へ大きく前進する画期的なものである。
以上のように、西林仁昭氏の先導的・開拓的な研究成果は、錯体化学や触媒化学などの当該分野及び関連分野の発展に大きく貢献している。また、他研究者の追従を許さない極めて独創的な成果であると同時に、国内外で非常に高く評価されている。これらの卓越した研究業績は井上学術賞に相応しいものと判断される。ここに、西林仁昭氏を井上学術賞受賞者として選定する。

 

<今後の抱負・感想>
幸運にも受賞者に選んで頂きました。日本の学術界できわめて名誉ある本賞を受賞させて頂いたのは大変光栄なことで、これも研究室の皆さんはもちろんのこと、関係諸先生方お陰だと、心より感謝致しております。

 

井上学術賞(井上科学振興財団)http://www.inoue-zaidan.or.jp/f-01.html