プレスリリース

超伝導不揮発メモリの実現-書き換え可能な超伝導量子コンピュータへの応用に期待-

 

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター動的創発物性研究ユニットの大池広志特別研究員(研究当時)、賀川史敬ユニットリーダーらの研究チームは、パルス電流(短時間かつ一時的な電流)を用いた「超伝導状態」の生成・消去に成功しました。  

本研究成果は、超伝導制御の新しい原理を実証するものであり、新たな超伝導物質の探索や、書き換え可能な量子コンピュータの回路素子の実現につながると期待できます。

これまで100年以上にわたり、超伝導状態を示す新物質の探索が行われてきましたが、その際に主に用いられてきた方法は、対象物質の化学組成や圧力を変化させることでした。

今回、研究チームは、極低温において化合物IrTe2(Ir:イリジウム、Te:テルル)にパルス電流を加えることで超伝導状態を生成し、また生成された超伝導状態を異なるパルス電流で消去することに成功しました。このように、従来とは異なる方法での物質の状態制御により、超伝導-非超伝導状態の書き換えを情報のビットとした不揮発性メモリ(超伝導不揮発メモリ)機能が実証されました。また、超伝導不揮発メモリを組み合わせて回路を構成すると、異なるパターンの超伝導回路の書き込みと消去を繰り返し行うことが可能になります。

本研究は、米国のオンライン科学雑誌『Science Advances』(10月5日付け:日本時間10月6日)に掲載されました。

 

 

プレスリリース本文:PDFファイル

Science Advances : http://advances.sciencemag.org/content/4/10/eaau3489

理化学研究所:http://www.riken.jp/pr/press/2018/20181006_1/