プレスリリース

グルコース濃度に応答して血中から脳内に薬剤を届けるナノマシンを開発

 

ナノ医療イノベーションセンターの片岡一則センター長(東京大学政策ビジョン研究センター特任教授)と安楽泰孝客員研究員(東京大学大学院工学系研究科特任助教)、東京医科歯科大学の横田隆徳教授、桑原宏哉特任助教らは、脳への薬剤送達を妨げる「血液脳関門 (Blood-brain barrier: BBB)」を、血中グルコース濃度(血糖値)の変化に応答して効率で通過し、脳内へ集積する「BBB通過型ナノマシン」の開発に成功しました。BBBを通過できる低分子薬剤でもその通過効率は必ずしも十分でなく、抗体や核酸医薬など、高分子物質でできている先端医薬はほとんど脳内移行できないために、アルツハイマー病などに代表される脳神経系疾患の治療薬開発の大きな障害となっています。研究チームが開発したBBB通過型ナノマシンは、外部刺激(グルコース)に応答してBBBを通過するスマートな機能を有しており、既存の技術と比較して桁違いに高い効率で脳に集積しました。さらに、BBBを通過したナノマシンは、多くの脳神経系疾患において治療標的となる神経細胞へと取り込まれることも明らかになりました。医工連携の体制で開発されたBBB通過型ナノマシンは、様々な薬剤を脳に送達するための基盤技術であり、真に有効な治療法が確立されていないアルツハイマー病などの難治性脳神経系疾患に対する、画期的な治療薬開発へと展開されることが期待されます。

 

 

 

プレスリリース本文:PDFリンク

Nature Communications:https://www.nature.com/articles/s41467-017-00952-3

東京大学政策ビジョン研究センター:https://pari.ifi.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html

科学技術振興機構(JST):http://www.jst.go.jp/pr/announce/20171019-5/

ナノ医療イノベーションセンター(iCONM):http://iconm.kawasaki-net.ne.jp/

日本経済新聞社:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP460683_Y7A011C1000000/

BIO IMPACT:https://bioimpact.jp/blog/detail/152453

日本の研究.com:https://research-er.jp/articles/view/64080

日本医療研究開発機構:https://www.amed.go.jp/

 

2017/10/20 Web 神奈川新聞カナロコ
脳内へ高効率で薬剤 川崎のナノ医療イノベーションセンターなどがカプセル開発

2017/10/20 新聞 神奈川新聞 21
脳へ薬 高効率カプセル アルツハイマー治療に期待

2017/10/20 新聞 日刊工業新聞 21
血液脳関門通過型ナノマシン 効率よく脳内に投薬 川崎市産業振興財団など

10/23(月)日経産業新聞 8頁
脳に薬、効率100倍以上、ナノ医療イノベーションセンター、粒子開発。