東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻杉山弘和准教授らの研究グループは、固形剤製造を対象とした経済性評価ツール“SoliDecision”のプロトタイプ版を公開します。錠剤やカプセル剤をはじめとする固形剤は、同じ製品でもさまざまな方法で作ることができます。さらに近年、原料から製品までを一貫で製造する「連続生産」が開発され、従来法の「バッチ生産」の代替として大きな注目を集めています。しかし、選択肢が増えたことでプロセス設計はより複雑になり、俯瞰的な手法・ツールが求められるようになりました。
本研究グループは、固形剤製造におけるプロセス選択肢を網羅的に生成し、経済性評価を行うためのツールを開発してきました。今回、そのプロトタイプ版を、学術誌BMC Chemical Engineeringでの発表とともに公開しました。ツールでは変動要因となる入力パラメータに確率分布を設定できるため、臨床開発から商用生産までの不確実性も計算に取り込めます。今後、プロトタイプ版を起点に “SoliDecision”の実用化を進め、より合理的なプロセス設計の実現を目指します。
図1 開発したツール”SoliDecision”の概要
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BMC Chemical Engineering: https://bmcchemeng.biomedcentral.com/articles/10.1186/s42480-020-0028-2