太陽のエネルギーを電力へ直接変換する太陽電池は、環境を汚染しないクリーンなエネルギー源として今世紀注目が高まっています。なかでも材料開発により高効率化が進み、安価に製造されることが期待される有機系太陽電池は、近年ますます研究が盛んになっています。シリコンの太陽電池と同等のエネルギー変換効率を示すペロブスカイト太陽電池も、有機系太陽電池のひとつです。東京大学大学院工学研究科の松尾豊特任教授、田日特任助教、丸山茂夫教授らは、産業技術総合研究所の末永和知首席研究員、フィンランド・アールト大学のエスコ・カウピネン教授らと共同で、従来用いていた金属や金属酸化物の電極を用いず、上下2つの電極ともカーボンナノチューブ薄膜を用いたペロブスカイト太陽電池を開発することに成功しました。これまで正孔を捕集するカーボンナノチューブ電極は知られていましたが、今回初めて電子を捕集するカーボンナノチューブ電極をつくることに成功しました。太陽電池の作製に真空プロセスを必要としないため、将来的に太陽電池の製造コストを下げる技術につながることが期待されます。
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The Journal of Physical Chemistry C:http://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpcc.7b10334
日本経済新聞 2018年2月26日朝刊9面掲載