プレスリリース

半金属や絶縁体のトポロジカルな性質を表す指標の発見 – トポロジカル物性を示す新物質探索における指針として期待 –

 

東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の渡邉講師は、米国ハーバード大学のVishwanath教授らとの国際共同研究で、近年注目を集めている「トポロジカル絶縁体」や「トポロジカル半金属」と呼ばれる一連の物質群を包括的に取り扱うことができる新理論を提案した。物質のトポロジーに関しては近年盛んに研究されてきたが、2016年にノーベル物理学賞がトポロジカル相の研究に授与されて以降、一層活発化している。
トポロジカル絶縁体・半金属の研究においては、物質の持つ「対称性」が重要な役割を果たす。結晶の持つ対称性は全部で230種類あることが知られているが、これまでは、ごく一部の限られた対称性の場合にしか研究がなされてこなかった。今回の新理論では、230種類のすべての対称性を統一的に扱うことができる。
今後トポロジカル物性を示す新物質を探索していく上での指導原理となり、トポロジカル物質をメモリや集積回路などに応用した新デバイスの開発や、トポロジカル量子コンピューターの発展などに役立つことが期待される。

 

 

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Nature Communications:https://www.nature.com/articles/s41467-017-00133-2