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2021年10月1日、都市工学専攻 横張真 教授が令和3年度東京都功労者表彰(技術振興功労)を受賞されました。

【題目】

東京の緑の保全活用に関する総合的な研究・実践活動

【背景】

 東京にとって公園緑地等の緑の確保は、都市政策の最重要課題のひとつとされてきた。しかし、現在でも1人当たりの公園面積は、欧米の主要都市の1/3~1/6にすぎない。新型コロナ感染症が蔓延し3密を避けた生活様式が問われるなか、快適な屋外環境の保全整備に対する都民の希求はきわめて高い。今後は、緑がもつ多様な機能を学術的に解明するとともに、その重要性を都民にわかりやすく伝えることが望まれる。

【成果】

 気候変動やヒートアイランド現象の影響が顕著になりつつある今日、都心にあっては、緑が、気温低減効果等を通じ快適な屋外環境の形成に寄与することが注目されている。横張教授は、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会委員として、屋外競技の選手や観客の暑熱対策を、緑を通じて図ることを検討してきた。その一環として、マラソンコースに予定されていたルートの気象条件(気温、湿度、日射等)を実測し、街路樹等のルート上の緑が暑熱の緩和にもたらす効果について検討し、その成果をKosaka, et.al (2018)1)やVanos, et.al(2019)2)を通じて公表するとともに、国内外20社余の新聞、テレビ等の取材に対応することで、広く社会に還元してきた。また東京都建設局等とともに、ルート沿いの街路樹管理のあり方等の検討をおこなった。さらに、行政や民間企業、NPOの有志からなる「Green Tokyo研究会」を主催し、平常時も屋外を移動・滞留する人々にとって、快適に佇める公園緑地の場所と、そこまでの最適な到達ルートをリアルタイムに提示する情報端末用アプリケーションである「Tokyo Oasis」の開発を主導した。

 一方、郊外にあっては、生産緑地を中心とした農地が残存し、快適な居住環境の形成に資するとともに、新鮮な食料の供給や災害時の避難場所の提供等、安全安心な暮らしにとって不可欠な存在となっている。横張教授は、23区外縁や多摩地区の農地をケーススタディに、生産緑地地区の運用実態やその課題(横張(2019)3)、栗本ら(2018)4))等の制度面からの研究、小規模物質循環圏の形成(新保ら(2014)5,新保ら(2016)6))、大規模災害時の食料供給(Sioen, et.al(2017)7),Sieon, et.al(2018)8))、住民の福利厚生(浜田ら(2016)9)等の機能面からの研究を進めてきた。加えて2018年、東京都による「大学研究者による事業提案制度」に「緑農住まちづくり」をテーマとした研究プロジェクトが採択され、その成果をHarada et.al,(2021)10)、Yamazaki et.al (2021)11) 等を通じ公表してきた。また、研究者のみならず東京都や練馬区、西東京市、町田市等の行政職員や農家、NPO等からなる「緑農住研究会」を主催するとともに、2019年には、海外から都市農業・農地にかかわる研究者、行政担当者、NPO関係者等を招聘し、「International Workshop on Living with Agricultural Landscapes(緑農住まちづくり国際ワークショップ)」を開催し、研究成果の国内外への発信につとめてきた。さらに、東京都農林・漁業振興対策審議会会長として、農地の保全活用策のあり方を検討してきた。

 

  • Kosaka, E., Iida, A., Vanos, J., Middle, A., Yokohari, M. & Brown, R.D. (2018) Microclimate Variation and Estimated Heat Stress of Runners in the 2020 Tokyo Olympic Marathon, Atmosphere 2018. 9, 192
  • Vanos, J., Kosaka, E., Iida, A., Yokohari, M., Middel, A., Scott-Fleming, I., & Brown, R (2019) Planning for spectator thermal comfort and health in the face of extreme heat: The Tokyo 2020 Olympic marathons. Science of the Total Environment, 657, 904-917
  • 横張真、2019、コンパクトシティと都市の「農」、土地総合研究、3−9
  • 栗本開・飯田晶子・倉田貴文・横張真(2019)大都市圏郊外部における都市農家の生産緑地の維持・貸与意向、都市計画論文集、53-3、529-536
  • 新保奈穂美・雨宮護・横張真(2014)都市農地における都市住民を担い手とする有機性廃棄物利用システムの実態解明,都市計画論文集,49(3),219-224.
  • 新保奈穂美・寺田徹・横張真(2016):郊外住宅地における空閑地の農園化による有機性資源循環利用シナリオの分析.ランドスケープ研究79(5),641-646.
  • Sioen, G. B., Sekiyama, M., Terada, T., & Yokohari, M. (2017). Post-Disaster Food and Nutrition from Urban Agriculture: A Self-Sufficiency Analysis of Nerima Ward, Tokyo. International Journal of Environmental Research and Public Health, 14(7), 748.
  • Sioen G.B., Terada, T., Sekiyama, M., & Yokohari, M. (2018) Resilience with Mixed Agricultural and Urban Land Uses in Tokyo, Japan, Sustainability, 10, 435
  • 浜田麻里奈・飯田晶子・横張真 (2016). 高齢者の健康維持に対する農の活動の影響. 都市計画論文集, 51(3), 1024-1029.
  • Harada K., Hino, K., Iida, A., Yamazaki, T., Usui, H., Asami, Y. & Yokohari, M. (2021) How Does Urban Farming Benefit Participants’ Health? A Case Study of Allotments and Experience Farms in Tokyo, International Journal of Environmental Research and Public Health, 18, 542
  • Yamazaki, T., Iida, A., Hino, K., Murayama, A., Hiroi, U., Terada, T., Koizumi, H., & Yokohari, M. (2021) Use of Urban Green Spaces in the Context of Lifestyle Changes during the COVID-19 Pandemic in Tokyo, Sustainability, 13, 9817

 

令和3年度東京都名誉都民顕彰式等|東京都 (tokyo.lg.jp)