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2019.07.12

【若手研究者紹介:024】物理工学専攻 森本研究室 森本高裕准教授

経歴
2012年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 博士課程修了
2012年 理化学研究所 古崎物性理論研究室 基礎科学特別研究員
2015年 理化学研究所 CEMS 強相関理論研究グループ 特別研究員
2015年 カリフォルニア大学バークレー校 ムーア財団博士研究員
2019年 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 准教授

<研究について>
 私たちは量子力学と統計力学に立脚した物性物理学の理論研究を行っています。物性物理学は、ある物質が電気を流すか、磁石の性質を示すかといった、「物」の「性質」を調べる学問です。このような物の性質は、物質中の電子の振る舞いを量子力学を使って解析することにより調べることができます。特に近年の物性研究において、電子を記述する量子力学的な波動関数の幾何学的な(トポロジカルな)性質に着目することにより、物質の示す量子相についての深い知見が得られることが明らかになってきました。
 例えば、トポロジカル絶縁体という物質群では、波動関数の位相のなす非自明な幾何学構造から、バルクは絶縁体であるにもかかわらず、表面に安定な金属状態があらわれます。このようなトポロジカルな物質相は様々な種類が存在することが知られているのですが、私たちは多様なトポロジカル物質相を対称性の観点から理解するトポロジカル分類理論の研究を行い、新機能物質探索の指針を得ることを目指しています。さらに、外場によって駆動された非平衡定常系においてあらわれる、新種のトポロジカル相の研究も行っています。
 また近年、ペロブスカイト酸化物が高効率の太陽電池効果を示すことが発見され注目を集めているのですが、その起源としてシフト電流と呼ばれるメカニズムが提案されています。シフト電流は物質中電子のベリー位相と呼ばれる幾何学量により記述され、幾何学的位相の概念に立脚した現代的な分極理論と密接に関連した現象です。私たちの研究室では、バルク物質の幾何学的な性質に由来する非線形光学応答・非線形伝導現象の研究を行い、高効率太陽電池・光検出器や、新しいダイオード機能の原理の開拓を目指しています。

<今後の抱負>
非線形光学効果や非平衡現象などに対して、非自明な波動関数の位相の構造がどのような物性現象として発現するかに着目することにより、トポロジカル現象・物質を基盤とした革新的な新機能創出のための学理構築を目指しています。

森本研究室: http://morimoto-lab.t.u-tokyo.ac.jp