プレスリリース

2021.04.15

世界初!CO2を原料とする完全リサイクル可能なカーボンニュートラルコンクリートの基礎的製造技術を開発 ~NEDOムーンショット型研究開発事業「C4S研究開発プロジェクト」~

1.会見日時:
2021年4月19日(月) 9:15 ~ 10:15

2.オンライン参加方法:
新型コロナウイルスによる感染防止策として、Zoomを用いたオンライン開催とさせていただきます。参加ご希望の方は下記URLへアクセスし、4月16日(金)12時までにご登録をお願いします。登録完了後、ご登録のメールアドレスに参加用URLをお送りしますので、当日はそちらからご参加ください。

Zoom事前登録用URL:
https://forms.office.com/r/RgL3erP44h

3.出席者:
野口貴文(東京大学 大学院工学系研究科 建築学専攻 教授)
丸山一平(東京大学 大学院工学系研究科 建築学専攻 教授)
北垣亮馬(北海道大学 大学院工学研究院 建築都市部門 准教授)
兼松 学(東京理科大学 理工学部 建築学科 教授)
田村雅紀(工学院大学 建築学部 建築学科 教授)
藤本郷史(宇都宮大学 地域デザイン科学部 建築都市デザイン学科 准教授)
辻埜真人(清水建設株式会社 建設基盤技術センター 革新材料グループ グループ長)
平尾 宙(太平洋セメント株式会社 中央研究所 第1研究部 部長)
兵頭彦次(太平洋セメント株式会社 中央研究所 第1研究部 セメント技術チーム リーダー)
増尾孝義(増尾リサイクル株式会社 専務取締役)

4.発表のポイント:
◆大気中のCO2と水とカルシウム(Ca)を含む使用済みコンクリートのみを用いて、砕かれた使用済みコンクリートの粒子間に炭酸カルシウムを析出させることにより、コンクリートが硬化するという新たな基礎的製造技術の開発を行った。
◆この手法を用いると、使用済みコンクリートが過去に排出したCO2と最大で同等程度のCO2を固定化できるため、コンクリートはカーボンニュートラルとなる。
◆薄く大気中に広がって存在しているCO2と、全国各地に存在しているコンクリート構造物中のCaの地産地消的な有効利用が可能になるとともに、建設分野のCO2排出削減に大きく貢献することが期待される。
◆このコンクリートは何度でもリサイクル完全な資源循環型である。

5.発表概要
東京大学は、北海道大学、東京理科大学、工学院大学、宇都宮大学、清水建設株式会社、太平洋セメント株式会社、増尾リサイクル株式会社とともに、NEDOムーンショット型研究開発事業「C4S研究開発プロジェクト」を実施しています(図1)。2050年カーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献することを目的としたものです。本プロジェクトでは、薄く大気中に広がって存在しているCO2と、全国各地に存在しているコンクリート構造物を資源とみなし、それらと水のみを原料として、カーボンニュートラルとなる次世代のコンクリートを開発しています。このコンクリートは、何度でも繰り返しリサイクルが可能となります。東京大学院工学系研究科の野口貴文教授がプロジェクトマネージャを務めています。


図1 CCC(カルシウムカーボネートコンクリート)によるCO2とCaの資源循環

プロジェクトの一環として、このたび東京大学大学院工学系研究科の丸山一平教授(コンクリート製造技術開発の主担当)、野口貴文教授らは、このカーボンニュートラルコンクリートの製造を可能とする製造技術の基礎を開発しました。
従来、コンクリートの製造にはセメントが必要不可欠です。しかし、セメントの生産時には石灰石の主成分である炭酸カルシウムの分解などによって多くのCO2が排出されており、人類の活動由来のCO2のうち、約5%がセメント生産によるものと言われています。今回開発したコンクリートの製造技術は、化石の生成プロセスと同じように、砕いた使用済みコンクリートの粒子間に炭酸カルシウムを強制的に析出させて一体化させることに大きな特徴があります。単位体積あたりに固定化されるCO2量は、等量のコンクリートが過去に排出したCO2量を上回ります。また、全国どこにでも存在しているコンクリートなどに含まれているカルシウム(Ca)と大気中のCO2と水とを原材料(資源)としているため、薄く分散した資源の遠距離回収を行う必要はなく、地産地消であることにも大きな意義があります。さらに、このコンクリートは、将来にわたって何度でもリサイクルが可能なため、資源枯渇・廃棄物発生の問題も解消されます。
また、本成果は、今後の建設分野のCO2排出抑制に大きく貢献するとともに、将来、火星上でのコンクリートの製造にも応用できる可能性があります。

6.発表内容
現在、全世界では、セメントは年間45億t(2015年時点)が生産され、1tのセメントをつくるのに、約800kgのCO2が排出されています。このうち約50%が炭酸カルシウム(石灰石)の高温分解によるもので、その他が、石灰石の焼成や原材料の輸送に必要な燃料消費によるものとなっています。現在までの人類の活動由来のCO2排出量のうちの5%がセメント生産によるものと言われており、セメントの生産によって大気中に排出されたCO2量は世界全体で約550億tになると推定されます。図2にその概念図を示します。このような背景から、建設分野におけるCO2排出量削減の観点から、世界的規模でさまざまな技術開発が行われています。


図2 現在のセメント/コンクリートに関する資源循環の現状

高度経済成長期から約50年が経過し、かつ人口減少下にある我が国では、多くの都市で再開発が行われたり、インフラの更新がなされたりする時に、建設廃棄物として大量のセメント・コンクリート系廃棄物が出てきます。また、地震・津波・台風などの自然災害国であるために、定期的に災害廃棄物として同様に大量のセメント・コンクリート系廃棄物が発生しています。これらのセメント・コンクリート系廃棄物を集積・回収して、新たな建設材料(例えば、セメント製造のためのカルシウム源)として再利用するための技術が求められていますが、広く分散してしまったカルシウムの有効利用法の開発は困難でした。また、これらのセメント・コンクリート系廃棄物は、過去、その製造時にCO2を排出しており、現在、その排出されたCO2は大気中に分散している状態にあります。
CO2の有効利用については、高濃度のCO2ガスであれば有効な利用技術は存在していますが、大気中の希薄なCO2の利用は困難でした。すなわち、希薄な状態で広域に分散してしまったCO2とカルシウムの有効利用は、長年にわたり困難な技術課題だったのです。
建設市場への新しい資源循環体系の導入を図ることで、この問題の解決を目論んでいるのが、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の野口貴文教授をプロジェクトマネージャとして、東京大学、北海道大学、太平洋セメント株式会社、東京理科大学、宇都宮大学、工学院大学、清水建設株式会社、増尾リサイクル株式会社による研究体制で取り組んでいるNEDOのムーンショットプロジェクト「C4S(Calcium Carbonate Circulation System for Construction)研究開発プロジェクト」です。

東京大学大学院工学系研究科建築学専攻の丸山一平教授を中心とした開発担当チームがこのたび開発した技術を用いて製造した硬化体を図3に示します。この硬化体の製造に用いている材料は、カルシウム(Ca)を含むセメント・コンクリート系廃棄物とCO2ガスと水のみです。今回、この技術によって実現されるコンクリートをCCC、カルシウムカーボネートコンクリート(Calcium Carbonate Concrete)と名付けました。なお、技術の詳細は、記者会見において説明します。


図3 開発した技術で生成した硬化体


図4 現在と将来のCO2に関する資源循環像:

CCCが可能とする建設分野におけるカルシウムおよびCO2の資源循環(C4S)の未来像

CCCを既存のコンクリート市場に組み込み、従来のセメント・コンクリートをCCCに徐々に置き換えていくことで、もしも2050年に半分のコンクリートがCCCになった場合には、年間2,000万tのCO2排出量の削減に加えて、年間620万tのCO2の固定化が可能になると考えられます(図5)。今後、CCCの製造プロセスについて、規模を拡大していくとともに、CCC部材の工場での製造技術、CCC構造物の建設技術、および様々な関連技術の開発に取り組んでいきます。また、本プロセスは、火星上などにおいても簡易にブロックを製造する技術などにも応用できるものと考えられますので、地球外での建設資材製造技術開発についても研究を進めていく予定です。

プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_202104151058544435600863_939771.pdf

記者会見写真および発表資料:https://drive.google.com/drive/folders/16zJ6OBs2yfNezdvOvUnxkJ7tWv-2nkXM