プレスリリース

2019.11.20

中空ファイバー導波路内における超放射現象の挙動を解明 ―超小型・超放射レーザー実現の基盤技術を確立―:物理工学専攻 香取秀俊教授ら

超放射は、原子集団内の原子が自発的に位相を揃えて光を放射する現象で、1954年のDickeの研究以来、量子光学や量子情報などの分野で活発に研究されています。特に導波路中においては、その光軸方向に長い形状を利用して、多数の原子を準備することが容易になるため、より効率良く超放射光を観測できるようになります。東京大学工学系研究科の岡場特任研究員、香取教授らからなる国際共同研究グループは、中空ファイバー導波路を用いて超放射の実験的、理論的な研究を行いました。
実験では、この中空ファイバーの中に、特別な波長でつくる光格子に極低温ストロンチウム原子集団を導入することで、ドップラー効果の影響を受けない原子集団を用意し、超放射の観測に理想的な状態を実現しています。このような実験系で得られた結果と理論解析を組み合わせ、導波路中の超放射の挙動を明らかにしました。また、超放射の周波数は、励起レーザーの周波数に依存しないことを観測しました。
ここで用いられた手法や研究結果は、非常に狭いスペクトルをもつ「超放射レーザー」の実現の重要な基盤技術です。この超放射を光源として用いる超放射レーザーは、光格子時計の小型化への途を拓き、相対論測地などへの利用も期待されます。

プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_201911201339208908030823_100005.pdf

Communications Physics:https://www.nature.com/articles/s42005-019-0237-2