航空宇宙工学科

天空を開拓する情熱と知性

重力に逆らって空を飛ぶ航空機や宇宙機には 無駄のない極限的な設計が求められます。そこには、流体、構造・材料、飛行・制御、推進などの様々な工学分野のバランスの取れた""統合""が要求されます。
ライト兄弟が1903年に初の動力飛行を成功させた鍵も、大空への熱意だけでなく、様々な分野の知識と技術を統合できた点にありました。宇宙まで飛行できる"再利用型スペースプレーン"や"小型衛星"、"惑星探査機"、"超安全航空機"、"高信頼性ロケット"など、人類のさらなる希望を叶える航空機や宇宙機を実現する研究者や技術者には、最先端技術を理解できる知性だけでなく、異分野の知見を統合して価値を作り出す能力が求められます。航空宇宙工学科では、システム統合化能力の育成を柱とするカリキュラムを提供し、大切に実践することで、航空宇宙工学分野をはじめとする科学技術分野の発展に努めています。

教員紹介

分野・コース

航空宇宙工学科では、航空宇宙を教育のための統一的な題材に採りつつ、限られた期間の専門教育で最も効果的な教育を行なうため、学部学生は3年次の冬学期から下記の2専修コースに振分けられます。

 

航空宇宙システムコース航空宇宙システム専修コースでは、空気力学、構造力学、航空機力学および制御に関する諸講義と実習から構成されています。固定翼機や回転翼機などの航空機および人工衛星や宇宙往還機などの宇宙機の全貌が捉えられるようになっています。
航空宇宙推進コース推進機関に関する理論体系を柱として、機器および制御、構造設計および材料などの諸講義と実習から構成されています。航空用ピストンエンジンやジェットエンジンさらに固体および液体推薬を用いる化学ロケットをはじめ、イオン、プラズマおよび原子力などによる非化学ロケット等、宇宙機の打上げから惑星間航行に必要な推進装置の全貌が捉えられるようになっています。

 

両専修コースとも、基礎工学から卒業論文、卒業設計までの標準科目の履修によって、それぞれの分野が形成する技術のピラミッドの底から頂きまでの概貌が把握できるようになっています。

教育

当学科では、システム統合化能力育成の観点から、卒業論文および卒業設計を特に重要な科目と考え、学部4年次における大半の時間をこれらに充当しています。
卒業設計では、卒業論文に引きつづき12月から2月下旬の提出までの間、自ら選んだ機種について基本設計を行ないます。紙上ではありますが、形のあるモノを生み出す楽しさと同時に苦しさを味わうでしょう。航空機や宇宙機、あるいは、それらのための推進エンジンなど、各学生は自ら設計課題を選定します。基本仕様の設定から着手して、最終的な要求を満足させるように、機体の三面図や宇宙機の構造図、さらにはジェットやロケット推進エンジンの断面図などを完成させます。この作業を通じて、各専修コースにおいて学習したことの全てを有機的に見直し、創造へと結実させるわけです。

進路

約50名の学部卒業生のうち、大多数が大学院修士課程に進学します。
若干名が官公庁およびその研究機関へ、その他の者が民間企業へ就職します。

 

民間企業の求人延数は就職希望者数の3倍前後で、就職希望が集中する2〜3の会社を除けば、おおむね希望先に就職することができています。なお、ここ数年間の学部および修士卒業生の進路は当学科ホームページ(http://www.aerospace.t.u-tokyo.ac.jp/)に示されています。