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木下裕介 講師が「平成29年度東京大学卓越研究員」21名に選出されました

 

精密工学専攻 木下裕介 講師が「平成29年度東京大学卓越研究員」21名に選出されました。受賞の対象となった研究業績は、持続可能な将来社会に向けたシナリオの設計方法論と実践に関す る研究です。 

同賞は、卓越した若手研究者の一層の自立を支援することを目的とした「若手研究者自立支援制度(東京大学卓越研究員)」により、学内の研究科及び研究所等から推薦のあった43名に対し、推薦書及び研究業績などに基づいて審査が行なわれ、「平成29年度東京大学卓越研究員」21名を決定いたしました。

この制度は、昨年度から開始し、採用後3年以内の若手PIprincipal investigator:研究室を主宰、又は独立して研究テーマを設定・遂行する者で原則40歳未満の研究者)を対象に、スタートアップ経費(300万円/年)を2年間支援するものです。

去る1213日(水)には、「平成29年度東京大学卓越研究員」と総長との懇談会を、大講堂(安田講堂)特別会議室で開催いたしました。総長からは今後の活躍への期待、東京大学卓越研究員からは謝辞と各自の研究内容及び今後の抱負などが述べられ、予定時間を超えて活発な意見交換が行われました。

 

 

<受賞した研究について>

私の研究は、「シナリオ」や「ロードマップ」といった手法を用いた社会システムのデザインを対象としており、最終的には社会を持続可能な形へと変えていくことが目標です。ここで「シナリオ」という用語は、もともとは映画の脚本などで使われていたものですが、ここでは現在と未来をつないだストーリーのことを指します。

そもそもこのような研究を始めた動機は、2050年頃に向けた日本のものづくりのビジョンと道筋を明らかにしたいというところにあります。国連によって持続可能な開発目標(SDGs)が提唱されるなど、ものづくりの世界でもサステナビリティ(持続可能性)の観点が極めて重要になってきています。こうした社会的ニーズに対して、私の開発しているシナリオ手法は、企業や政府・自治体での中長期的な戦略・政策のデザインや、新たな価値・イノベーションの創出を支援しようとするものです。このシナリオ研究の面白さは、工学分野だけではなく、エネルギー学、政治学、マーケティングなどの異分野の専門家と実社会の多様なステークホルダーを巻き込みながら学際的に進めていくという点です。

 

<今後の抱負>

このたび、平成29年度東京大学卓越研究員への採択を受けて、新たな学問領域の創成に向けた理論的な基盤ならびにネットワークづくりをさらに進めていきたいと考えています。

 

東京大学HPhttp://www.u-tokyo.ac.jp/ja/news/topics/topics_z1402_00007.html