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精密工学専攻 奥村 有加里さんが日本ロボット学会において奨励賞を受賞されました

 

2017年9月13日、精密工学専攻 奥村 有加里さんが、日本ロボット学会において奨励賞を受賞されました。この賞は研究発表を奨励し、若手研究者を積極的に育成することを目的とし、優れた研究発表を行った新進の研究者または技術者に進呈される賞で、毎年度開催される日本ロボット学会学術講演会で発表した講演者の中から選考されます。 

 

  

<受賞された研究・活動について>
本研究は、3次元計測技術の1つであるStructure from Motion(SfM)に関する研究です。SfMは1台のカメラのみを用いて3次元形状を計測可能な技術であり、近年ではUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を用いて取得した空中写真と組み合わせて3次元環境モデルの生成に用いられるなど、関心が高まっている技術です。一方で、SfMには計測対象のスケールを復元できないという課題があります。この課題を解決する方法の1つとして、光学的な屈折現象を利用することで計測対象のスケールを含めた形状復元を可能とするSfMが提案されています。しかしながらこの手法は、理論が確立されている一方で、復元の成功率が低く復元に失敗することが多いという問題点がありました。
本研究では、この問題点の解決に取り組んでいます。従来のSfMと組み合わせて用いられることが多い最適化手法であるバンドル調整について、屈折を利用したSFMに適用するために、屈折の影響を考慮したバンドル調整を提案しました。具体的には、バンドル調整による最適化において重要な課題とされている最適化の初期値と評価関数について、最適化の過程で生じる計測系に関する幾何学的な整合性に着目した手法を提案しました。提案手法を導入することにより、シミュレーション実験において、屈折を利用したSfMの成功率を飛躍的に向上させることに成功しています。

 

<今後の抱負・感想>
研究成果が認められ、このような栄誉ある賞を賜り大変光栄に存じます。ご指導いただいた先生方、並びに共著者の皆様に深く御礼申し上げます。この受賞を糧に、今後とも、本手法を実用可能な技術として発展させられるよう、研究活動に邁進してまいります。