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藤井浩光特任助教が IEEE the International Conference on Robotics and Automationにおいて RAS Japan Joint Chapter Young Awardを受賞されました

 

2016年5月18日、精密工学専攻 藤井浩光特任助教が、IEEE the International Conference on Robotics and Automation (ICRA)に於いて RAS Japan Joint Chapter Young Awardを受賞されました。

IEEE the International Conference on Robotics and Automation (ICRA)は,ロボティクス分野で最も権威のあるトップカンファレンスの1つであり、本年度の投稿件数は2,357 件であり、採択率は過去最難関でした。IEEE Robotics and Automation Society (RAS) Japan Joint Chapter Young Award は、その年のICRAで発表を行う日本の大学に属する学生全員が審査対象となる賞であり、IEEE Japan CouncilよりChapter支援費の補助を受け、2003年に始まりました。新規性、有用性、プレゼンテーション、総合点を評価の軸として審査が行われた結果、本年は特に優秀であった5名に与えられました。

 

 

<受賞された研究・活動について>

本研究は,社会インフラの維持管理における打音検査の自動化に関するものです。近年、深刻化が進む社会インフラの老朽化に対して、検査対象物を打診した際の音の違いから異状を検出する打音検査が、その信頼性・効率性の観点から注目を集めています。

受賞した研究では、従来の人手による打音検査では実現困難であった。検査対象物に生じた異常(変状)に関する劣化の進行程度(劣化度合い)を打音信号により推定するアルゴリズムを提案しました.健全な箇所(健状)と変状の打音信号サンプルに対して集団学習を行うことで、変状検出に有効な複数の部分周波数帯を求め、各部分周波数帯において健状・変状を線形分離可能な特徴平面を生成しました。さらに、その特徴平面上では劣化度合いの異なる打音信号同士で分布の偏りが生じる特性を発見し、離散的な劣化度合いについての事後確率分布をクラスタリングにより獲得しました。本論文では、変状検出に有効な部分周波数帯の抽出、および各部分周波数帯での劣化度合いの事後確率分布の推定までを、統一的に行うことが可能な新しい集団学習のアルゴリズムを提案しました。実験では、独自に製作した振り降ろし式の検査用ハンマを備えた自動打診装置を用いて、劣化度合いの推定を行い、変状検出およびひび割れ深さの推定の両方において、提案手法により正確な診断が可能であることを示しました。

 

 

 ひび割れ深さ推定実験(左:真値、右:推定結果)

 

 <今後の抱負・感想>

研究成果が認められ、このような素晴らしい賞を頂けたことを光栄かつ嬉しく思います。ご指導を賜った先生方、また協同研究先の皆様に深く感謝いたします。今後は、本研究で得られた知見・技術を発展させ、より現場への適用性を高めることで、社会インフラの点検・診断に貢献できるように努めていきたいと考えています。