プレスリリース

3MHzの超高繰り返し高次高調波発生~2波長の極端紫外超短パルス光の応用に期待~:光量子科学研究センター 神田夏輝 客員研究員ら(研究当時)

 

理化学研究所(理研)光量子工学研究センターアト秒科学研究チームの神田夏輝研究員(研究当時)、アマニ・レザ研究員(研究当時)、鍋川康夫専任研究員、緑川克美チームリーダー、東京大学大学院理学系研究科の五神真教授(現総長)らの共同研究グループは、二つの異なる波長域の極端紫外高次高調波を3メガヘルツ(MHz、1MHzは100万ヘルツ)の超高繰り返しで同時に発生できるレーザー光源を開発しました。
本研究成果は、時間分解光電子分光など、物質の超高速運動の様子を観測するための重要なツールになると期待できます。
極端紫外波長域の高次高調波は、コヒーレンス、短波長性、短パルス性などに優れていますが、繰り返し周波数が低い(最大でも数十kHz)という課題がありました。
今回、共同研究グループは、長さ約100mの周回型レーザー共振器を真空チェンバー内に組み上げました。レーザー媒質として熱交換効率の良いYb:YAG薄ディスクを用いることで、1kWを超えるパワーで励起が可能になりました。その結果、モード同期レーザー発振において、レーザーパルス光の繰り返し周波数は約3MHzに、パルスエネルギーは従来の約100万倍に及ぶ0.7mJに達しました。共振器内2カ所の集光点に、それぞれネオンガスおよびアルゴンガスを吹き付けたところ、ネオンガスからは波長域 24ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)~60nm、アルゴンガスからは波長域50nm~115nmの極端紫外高次高調波を同時発生させることに成功しました。
本研究は、オンライン科学雑誌『Light: Science & Applications』(9月24日号)に掲載されました。



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理化学研究所:https://www.riken.jp/press/2020/20201008_2/index.html

東大物性研究所:http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/news2.html?pid=11218