「工学」それは意思を実現する体系

広報室から

「制がん剤の薬剤耐性を克服するドラッグデリバリーシステム」耐性がん細胞の核に薬剤を効率的にデリバリーするナノスケールのトロイの木馬を開発

東京大学は、がん細胞の細胞内環境に応答して内包した抗がん剤を放出するインテリジェント型高分子ミセル*1の開発に成功した。
これは、昨年度より始まった最先端研究開発支援プログラム*2「ナノバイオテクノロジーが先導する診断・治療イノベーション(中心研究者:片岡一則教授、東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻/東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター臨床医工学部門)」の一環である。抗がん剤を内包した高分子ミセルは、現在、4種類の製剤が国内外で臨床治験に進んでおり、本邦発のDDS*3製剤として実用化が期待されている。これまでに高分子ミセルは、腫瘍血管の透過性の亢進と未発達なリンパ系の構築によって固形がんに選択的に集積することによって、治療効果の向上と副作用の低減がもたらされることが明らかになっている。本成果は、高分子ミセル型DDSの新たな可能性を示すと同時にその実用化を加速するものと期待される。

用語解説:
*1 高分子ミセル
親水性ポリマー(ポリエチレングリコールなど)と疎水性ポリマー(ポリアミノ酸誘導体など)の2つのブロックから成るブロック共重合体。水中では内側に疎水性ポリマー、外側に親水性ポリマーが拡がった2層構造を持つ球状に自己組織化したもの。
*2 最先端研究開発支援プログラム
平成21年度補正予算によって創設された「研究者最優先」の研究支援制度で、3〜5年間、世界のトップを目指した先端的研究を推進し、我が国の中長期的な国際的競争力、底力の強化を図るとともに、研究開発成果の国民及び社会への確かな還元を図ることを目的としている。565人の研究者からの応募がありその中から30人が選ばれた。
*3 DDS 
Drug Delivery Systemの略で、薬物送達システムと訳される。薬の効果を上げ副作用を減らすために、ターゲットとなる細胞や組織だけに薬を到達させ、必要量をタイミングよく放出させるシステム。

発表資料はこちらをご覧ください。

発表雑誌

Science Translational Medicine (オンライン発行2011年1月6日)

問い合わせ先

 
  • 東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻/大学院医学系研究科疾患生命工学センター臨床医工学部門 教授 片岡 一則
    TEL:03-5841-7138
    E-mail:kataoka@bmw.t.u-tokyo.ac.jp

  • 東京大学大学院医学系研究科臨床医工学部門 准教授 西山 伸宏
    TEL:080-5693-4655
    E-mail:nishiyama@bmw.t.u-tokyo.ac.jp

  • 科学技術振興機構ナノバイオファースト支援事務局 永井博子
    TEL:03-5841-1267、FAX:03-5841-1510
    E-mail:nagai@nanobiof.t.u-tokyo.ac.jp
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