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歴代工学部長・研究科長懇談会 報告

 

歴代工学部長・研究科長懇談会は、平成26年10月16日(木)10時から工学部列品館大会議室において開催された。本懇談会は、新工学系研究科長が就任された秋に行われているものである。今回は、堀川清司先生、吉川弘之先生、菅野卓雄先生、岡村弘之先生、合志陽一先生、岡村甫先生、小宮山宏先生、大垣眞一郎先生、平尾公彦先生、保立和夫先生、北森武彦先生、原田昇先生と総勢12名の歴代工学部長先生にご出席いただき、大変盛会であった。各研究科からは光石衛工学系研究科長、味埜俊新領域創成科学研究科長代理、須藤修情報学環・学際情報学府長、坂井修一情報理工学系研究科長が出席されたほか、工学系研究科からは、大久保副研究科長、吉村副研究科長、佐久間副研究科長、服部副研究科長・事務部長、中須賀研究科長特別補佐、相田研究科長特別補佐、小澤研究科長特別補佐、高橋研究科長特別補佐、寺井総合研究機構長、各企画委員、各学科長・専攻長が出席された。

司会進行は大久保副研究科長により進められ、光石研究科長から、開会のごあいさつに続けて、工学部進学者の状況、教職員数、学生数予算規模も十分大きく、世界においてもよい位置づけを保っていることなどが紹介された後、工学系研究科運営に当たっての基本方針について説明がなされた。「活力あふれる社会を実現する工学研究と教育のさらなる展開」を目指して、研究力の強化と国際的なビジビリティの向上を進めていくことが述べられた。特に卓越した研究力は東京大学の力の源泉であり、社会に活力を与え、変革し、牽引する人材にもつながるものであるため、様々な施策を用意するとともに、個々の構成員の活性化の支援も行っていく方針である。研究科の運営体制も強化し、副研究科長3名と整備を進めた。その後、新組織として立ち上げた、レジリエンス工学研究センターの紹介がなされた。産業界との対話を重視し、企業の研究所長クラスと継続的に企業対話を実施しており、昨年度からはミニ企業対話として、スタジオ型の研究教育手法を用いて、異分野連携の試みを行っている。医療福祉工学開発評価研究センターは医療福祉機器等の実用化を早めるためのセンターとして、活動している。COI「若者と共存共栄する持続可能な健康長寿社会を目指す〜Sustainable Life Care, Ageless Society COI拠点〜」などのCOI拠点も活動している。人事制度では、クロスアポイントメント制度の活用を進めている。サバティカル制度は教員の研究力向上と国際的な活動を活性化する重要な機会となるが、従来のサバティカル制度に加えて、戦略的サバティカル制度として、教員・専攻がボトムアップ的に提案し、研究科長が承認したものは支援が受けられるような制度を開始し、10専攻から32件の提案が出ているところである。女子学生については、比率が9.95% となり、理学部の9.4%を抜いている。これらの報告の後に、中央がよくやっているという印象であるが、事務組織との連携はどうなっているか、教員の研究時間は十分取られているのかとの質問があり、国際工学教育推進機構などで能力のある人を採用するなど、いろいろな職種の人を採用し、外部資金をいれつつ、活性化してやっていること、また、研究の更なる強化に向けて注力しているところであるとの回答がなされた。

その後、財務担当の吉村副研究科長より、財務状況の紹介があった。

外部資金は順調であるが、間接費の少ないものもあり、予算によっては間接費が措置されないこともある。電力料金の単価が増えており、支出が増えている。スペースについては、耐震工事などで必要になっている退避スペースが問題となっている。博士学生・留学生等支援に関する課題としては、国の支援がなくなったため、研究科財務を圧迫している。全般に時限つきプロジェクトで事業を実施するたびに、中長期的には基盤的経費が必要となっている構図が見られることが示された。博士学生の経済的基盤構築にはインセンティブをつけ、外部資金で光熱水量を負担することを検討している。

教育担当の佐久間副研究科長からは、工学部への進学振り分けが好調であること、また、専攻を横断するマルチディシプリン型教育を3つ設定して進めていることなどが、紹介された後、総合的教育改革による学事暦の変更について詳細に説明された。

また、工学系研究科における教育の国際化については、国際工学教育推進機構を中心に整備が進められ、留学生業務のオンライン化が行われている。工学教程の編纂が進むとともに英語化も行われている。その他、Deans forum, 大学の世界展開力強化事業、スーパーグローバル大学創成支援、バイリンガルキャンパスを支える英語力強化の取組、日本語教室、工学系研究科フェローなど多くの活動について紹介された。

研究博士課程施策関連について研究担当の大久保副研究科長より説明された。

寄付講座は寄付による基金を資金源とするが、社会連携講座は共同研究経費をベースとしている。現在12の寄付講座が工学系研究科の下におかれ、研究教育活動の活性化に役立っている。社会連携講座は専攻内の共同研究によるものは、各専攻に設置し、研究科との共同研究については、国際工学教育推進機構に設置されている。現在工学系には14の社会連携講座が稼働している。これまで日本企業は修士人材を求めていたが、これから先は博士課程の人材が重要になると考えられ、博士人材の育成に力を注いでいる。博士課程リーディングプログラムにおいても工学系で7つのプログラムが走っており、経済支援により、基盤を十分にさせるようにしている。

最後に広報室長の大澤先生より、広報室の活動目標と具体的な活動内容について紹介された。

以上の説明の後、新しい人事制度、クロスアポイントメント、ポスドク問題、工学的方法、全学の意思決定、学生の立場からの検討、博士修了者の就職、等について質疑応答が交わされた。

新領域創成科学研究科について将来構想委員会の委員長でもある味埜先生から紹介があった。新領域は、学生からみた仕組みがわかりにくいが、知の冒険・学融合として作られた。

研究が中心であり、高度な研究とそれに根差す教育を行っている。

新領域創成科学研究科の組織には系がある。基礎科学研究系、環境学研究系、生命科学研究系となっている。サステナビリティについてはリーディング大学院を作った。英語のみで留学生が8割、女性6割となっている。国際化については工学系を参考にしている。

情報学と生命科学の融合を狙うメディカルゲノム専攻を来年度設置予定で準備中である。

主要な研究トピックスについて説明された後、社会連携教育や柏キャンパス全体を考えるワーキンググループなどが進行していることが紹介された。

情報学環については須藤情報学環・学際情報学府長から説明がなされた。本組織は、蓮見総長のときにスタートしたものであり、情報学環は研究組織、学際情報学府は教育組織となっており、文系と理系を混在させたものとなっている。教員は、基幹教員と流動教員(元部局から3-5年の出向)からなる。コンピュータサイエンスのアート系、基礎系と応用などの研究などが行われている。AO入試では入試も授業も英語のみで優秀な学生の獲得を目指している。最近の傾向としては、独自性が消えつつあり、アイデンティティをしっかりもつこと意識が必要。大学院では理系の人材はほとんどが工学系である。文系は駒場との関係が強い。就職は堅調である。高齢社会総合研究機構については工学系・医学系とも協力している。

情報理工学系研究科については坂井研究科長より説明がなされた。

事務は工学系と共通である。工学系からは計数、電子情報、機械情報が中核となり、理学系からは情報科学が参加して、概ね工学系の1/4.5のサイズの研究科となっている。知財収入は好調であり、一昨年は工学系を上回っている。外部資金の獲得も順調である。

平成26年度の在籍者数は修士課程472、博士課程170であり、ここのところ博士課程学生が減ってきている。この理由としては、外資系が修士で優秀な学生を高給で獲得していることがある。リーディング大学院は女子が増えている。新しい教育プログラム・教育センターとしては、リーディング大学院GCL、ソーシャルICT研究センター、enPiTなどがある。来年度は外部評価を実施する予定である。法人化の共通課題としては、教員の削減、運営費交付金の減少などがある。

その後、列品館前において記念撮影を行い、工学部2号館の展示室へ移動して、懇談会が行われた。懇談会の司会は佐久間副研究科長が行い、堀川清司先生による乾杯に始まり、和やかな雰囲気の中にありながらも、歴代工学部長・研究科長の各先生方からは、工学系研究科の発展への期待とともに叱咤・激励の含蓄深いご挨拶があった。3時間近くの長時間にも関わらず大変密度の濃かった本懇談会の最後は、坂井情報理工学系研究科長より参加の先生方には大所高所から更にご意見を賜りたいとのこと、また、universalな価値を追求することの重要性への強い意識を込めた挨拶で締めくくられた。

 

 

懇親会の様子

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堀川先生のご挨拶

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