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化学生命工学専攻 楠本周平さんが日本化学会第94春季年会において学生講演賞を受賞されました

 

化学生命工学専攻 楠本周平さんが、日本化学会第94春季年会、学生講演賞を受賞されました。

 

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<受賞された研究について>

私は本研究で新規ヒドロキシシクロペンタジエニルイリジウム錯体を開発し、Scheme 1~3に示す3つの新反応を達成しました。Scheme 1の反応は、ケトンやエステルなどの官能基のα、β位を直接脱水素化する反応です。医薬品合成などの分野で重要な反応ですが、今までは当量の酸化剤を用いることが必須でした。私の研究では、この反応を酸化剤を用いず、水素を放出しながら行うことが出来る、より原子効率に優れた反応を開発することが出来ました。Scheme 2と3の反応は炭素-酸素結合の加水素分解反応です。現在、リグニンやセルロースといったバイオマテリアルの有効利用が重要な課題となっています。バイオマテリアルの基礎化成品としての応用を志向し、それらに多く含まれる炭素-酸素結合の還元反応が盛んに研究されてきました。私は現在まで達成されていなかった保護されていないフェノール類の直接還元による選択的芳香族化合物合成(Scheme 2)と、アリールメチルエーテルからのフェノール類の選択的合成(Scheme 3)を達成しました。本研究は、有機合成化学や化学工業に貢献する反応になると期待しています。

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<今後の抱負・感想>

今回このような賞を頂き大変光栄に思います。今まで指導してくださった野崎京子教授をはじめ、研究室の皆さんに感謝します。今後も有機化学、有機金属化学の分野で研究に精進し、社会に貢献したいと思います。