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応用化学専攻 金雄傑さんが 第7回GSC Student Travel Grant Award、The 4th Asia-Oceania Conference on Green and Sustainable Chemistryにおいて、Best Poster Presentation Awardを受賞

 

応用化学専攻 博士2年 金雄傑さんが、第7回GSC Student Travel Grant Award を受賞されました。また、The 4th Asia-Oceania Conference on Green and Sustainable Chemistryにおいて、Best Poster Presentation Awardを受賞されました。

 

 

<受賞された研究について>

クロスカップリング反応は有機合成分野において最も重要な骨格形成反応の一つであり、特にパラジウム触媒によるカップリング法は高い効率及び信頼性の故に幅広く使われています。しかし、これらの反応は活性化された化合物を基質として用いる必要があるため、大量の廃棄物生成や多段階合成に由来する合成効率の低下などの問題点があります。近年、C–H或いはY–H(Y = ヘテロ元素)結合の直接脱水素型クロスカップリング反応が高い原子効率を有することや一段階合成法であることから注目を集めています。特に、酸素を酸化剤とした脱水素クロスカップリング反応は水のみが副生成物となるため、環境負荷が少ないグリーンケミストリーの観点からすると大いに発展の余地があると考えられます。

本研究では、酸素を酸化剤とした(i)水酸化銅を用いた末端アルキンとアミドの脱水素クロスカップリングによるイナミド合成、及び(ii)酢酸銅を用いたH-ホスホナートとアミドの脱水素クロスカップリング反応によるN-アシルホスホロアミダートの合成に成功しました。イナミドとN-アシルホスホロアミダートは有機合成において重要な化合物であり、従来、これらは大量の廃棄物を伴う多段階反応によって合成されてきました。本研究で開発した脱水素クロスカップリング法は、(i)入手容易で安価な銅触媒を用いること、(ii)基質の活性化或いは官能基化を必要としない一段階合成法であること、(iii)水のみを副生成物とすることなどの利点があります。また、これらの反応系は広い基質適用性を示し、イナミドとN-アシルホスホロアミダートのより簡便で効率的な合成法になります。

 

 

<今後の抱負・感想>

今回の受賞を大変嬉しく、また光栄に思っています。今回の学会参加にあたって新化学技術推進協会(JACI)のご支援をいただき、心から感謝申し上げます。研究においてご指導を賜りました水野教授、山口准教授に心から感謝いたします。今後も一層研究に励んで新しい触媒反応の開発を全力で頑張りたいと思っています。