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若手研究者紹介:柴沼一樹 准教授

 

 

若手研究者紹介:045

 

システム創成学専攻 柴沼研究室 柴沼一樹 准教授

 


【経歴】
2006年3月 京都大学工学部地球工学科 卒業
2007年9月 京都大学工学研究科社会基盤工学専攻 修士課程 修了
2008年4月 日本学術振興会特別研究員(DC1)
2010年5月 京都大学工学研究科社会基盤工学専攻 博士課程 修了 博士(工学)
2010年6月 日本学術振興会特別研究員(PD)
2010年11月 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 助教
2013年6月 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 講師
2017年1月 東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 准教授
2018年4月 Imperial College London Visiting Academic

【研究について】
「破壊」や「損傷」は材料や構造体の代表的な力学的極限状態です。このため、これらの力学現象を深く理解し、適切に制御することは工学分野における最も基本的かつ重要な課題の一つです。これは、数学および物理学の知識を基礎とした「適切なモデル」を構築することができて初めて実現されます。私は従来不可能であったこのような材料・構造の損傷・破壊信頼性を、新たなアプローチによって予測/評価することができる革新的なモデルを構築することを目標として研究を行っています。

 ○マルチスケールモデリングによる破壊現象の究明
破壊は極めて複雑な物理現象であり、急速な発展を見せる計測技術の最新の手法を駆使しても、得られる情報は未だその一部の側面に過ぎません。そこで、様々なスケールで多面的に物理現象の支配因子を捉え、マルチスケールに複数のモデルを統合化することで、現象全体の説明を試みる従来にはないアプローチによって新たな理論体系の構築に挑戦しています。

 ○経年劣化の高精度予測手法の開発
現代では既設構造物の経年劣化が進み、それらを合理的に維持管理するシステムの構築が喫緊の課題となっています。そこで、大規模な社会基盤構造物における疲労やクリープといった代表的な経年劣化に対して、現象論的・統計的なアプローチを統合することで維持管理の合理性を飛躍的に向上させるシステムの構築に挑戦しています。


開発したモデルの一例:金属材料の微視組織情報から構造体の疲労損傷に対する寿命を予測するマルチスケールモデル(https://doi.org/10.1016/j.ijmecsci.2019.105339)

【今後の抱負】
2018年度に経験させていただいた戦略的サバティカルを経て自分の意識は大きく変わりました。国際的な連携を進めながらも、独自のアプローチによって世界的に存在感のある研究者を目指したいと思います。

【WEB】
研究室:http://www.struct.t.u-tokyo.ac.jp/shibanuma/