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マテリアル工学専攻 杉山一生さんが第28回独創性を拓く先端技術大賞においてニッポン放送賞を受賞されました

 

マテリアル工学専攻 杉山一生さんが、第28回独創性を拓く先端技術大賞において、ニッポン放送賞を受賞されました。「先端技術大賞」は、自然科学分野の学生を対象に1986年に創設されたもので、先端技術分野で活躍する若手研究者の独創性、創造性をはぐくみ、勉学・研究への意欲を高めることを目的とする表彰制度です。

 

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<受賞された研究について>

受賞論文名「反強磁性体中の転位を用いた原子スケール永久磁石の開発」
微細な磁気デバイスを作製するために、磁性体を原子スケールにまで微細化すると、磁石の向きが反転しやすくなってしまうことが知られています。本研究ではこのような問題を解決するため、磁性を持たない材料中に原子スケールの強磁性領域を埋め込むことで、磁石の向きが反転しにくい磁性体を作り出すことを目的としました。本研究では、材料中に存在する1次元の格子欠陥である転位を利用し、代表的な反強磁性体である酸化ニッケルに転位を導入することで、転位コア領域において原子スケールの極微強磁性体を作製することに成功しました。この転位における強磁性の磁気特性を測定したところ、磁石の向きの反転には室温で4Tという極めて大きな外部磁場を必要とすることが明らかになり、微細で安定な磁性体を作製するという上記目的を達成することができました。最先端の電子顕微鏡法とスーパーコンピュータを用いた理論計算を組み合わせることで、このように優れた磁性は、転位のコア領域で局所的にニッケルが欠損することによって生じることが示されています。本研究成果は、原子スケールの極微磁気デバイスや磁気記録媒体の開発につながる成果であると考えております。

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<今後の抱負・感想>

このような栄誉ある賞を賜り、大変嬉しく思っております。まだ基礎研究の段階にある技術ですが、この度の受賞を励みに少しでも実社会に貢献できる成果へと繋げていくことができますよう、より一層研究に勤しんでまいります。