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若手研究者紹介:南部将一准教授

 

 

 

 

【経歴】
2002年3月 東京大学工学部マテリアル工学科卒業
2004年3月 東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻修士課程修了
2007年3月 東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻博士課程修了
2007年4月 東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻産学官連携研究員
2008年5月 東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻 助教
2013年8月 東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻 講師
2019年2月 東京大学工学系研究科マテリアル工学専攻 准教授
その間
2012年4~9月 University of Cambridge, Visiting researcher


【研究について】
 私たちの身近にあり生活を支えるモノ、これを構成している材料の特性やその内部構造である微細組織について研究しています。材料の特性や性能は、構成する元素はもちろんですが、その組織によっても大きく変化します。最も身近な材料の一つである鉄鋼材料においても、その組織を制御することによって非常に幅広い特性を実現できます。
 例えば省エネルギーや排出CO2低減のため、自動車に代表される移動体の軽量化が強く望まれています。そのため移動体を構成する構造材料の高強度化により構造体の軽量化が進められていますが、加工性や衝突安全性などの観点から強度だけでなく、延性の確保も重要であるため、両者を高いレベルで両立する構造材料の開発が不可欠です。そこで私の研究室では、材料の組織をナノ・ミクロ・マクロの様々なスケールで制御し、さらに複合化や複層化、微細化を重畳することによって、その性能を飛躍的に向上させ、革新的な鉄鋼材料や新たな金属材料の創製を進めています。また、構造体のマルチマテリアル化に対応する異種材料接合の鍵となる異相・異材の界面の解明と制御の研究も行っています。その一つとして、超高強度の鋼と延性に富む鋼を層状に重ねた複層鋼板や、軽量なマグネシウム合金と延性に富む鋼を重ねた複層金属材料を提案し、構成する材料の特性や層間の界面強度、さらに層厚や体積分率を制御することによって、これまでの材料では達成できていなかった超高強度かつ高延性な革新的材料を実現しています。

[参考文献]
S. Nambu, K. Seto, JY. Lin, T. Koseki, Science and Technology of Welding and Joining, 23 (2018) pp.687-692.
S. Nambu, Y. Takizawa, M. Ojima, J. Inoue, and T. Koseki, ISIJ International, 57 (2017) pp.1254-1259.
T. Koseki, J. Inoue and S. Nambu, Materials Transactions, 55 (2014) pp. 227-237.

 


【今後の抱負】
将来の持続可能な社会において材料のリサイクルは不可欠です。現在求められているマルチマテリアル化とリサイクルを両立するための鍵の一つが材料の接合および分離を可能にする技術です。構造材料の高性能化を追求しながらも,このような新規接合分離手法を提案していきたいと思います。

 

・研究室ウェブサイト:http://metall.t.u-tokyo.ac.jp/n_index.html