トピックス

船瀬 龍 准教授ら が平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞されました

 

航空宇宙工学専攻 船瀬龍 准教授らの研究グループが平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)を受賞されました。
同賞は、文部科学大臣が科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について行う表彰です。

受賞の対象となった研究業績は、「世界初の超小型深宇宙探査機の研究」で、航空宇宙工学専攻の船瀬龍准教授がプロジェクトマネージャとして研究開発を進めた世界初の超小型深宇宙探査機PROCYON(プロキオン)の成果によるものです。

この度、船瀬准教授と、PROCYONプロジェクトを共同で推進した新領域創成科学研究科の小泉宏之准教授(兼担:工学系研究科航空宇宙工学専攻)と宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所の冨木淳史助教(兼担:工学系研究科電気工学専攻)の3名が受賞しました。

 

<研究成果の概要>
無人機で太陽系を航行して惑星や小天体(小惑星・彗星)等を探査する深宇宙探査の分野においては、探査機が大規模(数100kg~数1000kg)であるがゆえに開発コストが高く(数100億円以上)、高頻度な探査ができず、また、高コストで長期開発であるがゆえに挑戦的な設計を取り入れづらく、技術革新が十分なスピードで進まないという問題がありました。

本研究では、①民生の最先端技術を適用しながらも宇宙環境での生存確率を確保可能な超小型探査機システム設計、②深宇宙空間で自在に探査機の軌道と姿勢を制御する超小型の推進システム(エンジン)、③窒化ガリウム(GaN)という高効率な新しい半導体プロセスを導入することによる、地球との遠距離通信が可能な通信システムの超小型化・軽量化、の3点の研究を行いました。

本業績により、世界最小の50kg級の超小型深宇宙探査機PROCYON(プロキオン)を実際に開発し、2014年に打ち上げ、深宇宙軌道での超小型探査機の基本機能の実証に世界で初めて成功しました。

本成果は、深宇宙探査ミッションを高頻度・低コストに実施する手段の提供を可能にし、惑星科学・生命科学等の太陽系探査に関わる学術分野の発展や超小型衛星市場の拡大に寄与することが期待されます。

 

(左から冨木先生、船瀬先生、小泉先生)


<船瀬准教授のコメント>
日本が世界に先駆けて50kg級という過去最小の深宇宙探査機を実現し、軌道上運用に成功することにより,超小型衛星の活動範囲を地球近傍(地球周回軌道)から深宇宙へ広げるという大きなマイルストーンを築くことができた点が、評価されたのだと考えています。
超小型探査機による深宇宙探査は、今では、実際に科学成果を上げるための手段として世界各国で真剣に検討されるようになりました。この国際競争の中で我々が優位に立ち続けられるよう、引き続き研究を発展させていきたいと思います。

 

PROCYONプロジェクトのWEBサイト:http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp/nlab/procyon.html
PROCYONプロジェクトのFacebook:https://www.facebook.com/procyon.spacecraft/

文部科学省からの発表:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/04/1384228.htm
科学技術者賞受賞者一覧はこちらをご覧下さい。