プレスリリース

電子顕微鏡の新機軸、半導体pn接合の界面電場観察に成功 ~デバイス・材料開発に拍車~:附属総合研究機構 柴田 直哉准教授

 

今回、柴田准教授らは、新開発の分割型検出器を用いたSTEM(図2)により、半導体pn接合の内蔵電場観察に世界で初めて成功しました(図3、4)。また、その像コントラストを定量的に評価し、像のシミュレーション計算と融合することにより、その電場強度の定量検出にも成功しました。本観察では、ナノレベルに絞った電子線が、pn接合界面に形成された局所的な電場によって僅かに偏向される現象を利用しており、分割検出器によりその曲り角を検出することでpn接合界面の位置をナノスケールで正確に決定することを可能にします。この手法は、微分位相コントラスト(DPC)法と呼ばれ(図4)、今後材料中の電磁場観察に広く応用できることが期待できます。また、pn接合での電場強度が直接可視化できることで、pn接合界面で電子や正孔がどのようにふるまうのかを予測したり、目的とするpn接合界面が実際に形成できているかどうか検証するための不可欠な手法になると考えられます。

 

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