プレスリリース

2014.11.18

脂質組成の非対称性をもつ人工生体膜の新しい量産技術 -疾患の解明、創薬探索などの活用へ- : 応用化学専攻 渡邉力也助教、野地博行教授 

東京大学大学院工学系研究科の渡邉力也助教、野地博行教授らの研究グループは、生体膜の特徴である脂質組成の非対称性をもつ人工生体膜を1万個以上集積化したチップ(非対称生体膜チップ)を開発しました。

生体膜は内層と外層で脂質組成が異なり(非対称性)、生体膜の一部に存在する酵素がその非対称性を常に維持しています。脂質組成の非対称性は、シグナル伝達やアポトーシスなどの生理的に重要な機能を制御しており、すなわち、脂質組成の非対称性の崩壊を、崩壊を高感度に計測する技術の開発が望まれていました。

これまでは、脂質組成の非対称性の崩壊を計測するためにリポソーム法が広く用いられてきました。しかし、生体膜全体で非対称性が完全ではない部分があること、また非対称性の検出試薬との相性が悪いことなどから、リポソーム法では非対称性の崩壊を高感度に検出することが極めて困難でした。

渡邉助教らは、非対称な人工生体膜の高効率量産化に成功し、これを1万個以上集積化させた非対称生体膜チップを開発しました。このチップにより、脂質の非対称性が崩壊する過程を人工生体膜1枚単位で計測できるほどの高感度化に世界で初めて成功し、さらに、10時間以上の長時間計測も可能にしました。

今回開発された非対称生体膜チップは、脂質組成の非対称性が関係するがんやアルツハイマー病等の疾患の解明や、非対称性の維持に関わる酵素を標的とした創薬探索システムとしての応用が期待されます。

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