プレスリリース

化合物半導体中の電子のみを用いた高効率光変調を実現 ~省電力シリコン光集積回路への応用に期待~

 

東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻(工学部電気電子工学科 兼担)の竹中充准教授らは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超消費電力型光エレクトロニクス実装システム開発」プロジェクトの下、技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)との共同研究により、シリコン(Si)光導波路上に化合物半導体を貼り合わせることで世界最高性能の半導体光変調器の実証に成功しました。IoTや人工知能の出現により膨大な情報を高速かつ低エネルギーで通信するためのシリコン光集積回路の重要性が増しています。しかし電気信号を光信号に変換する効率が悪く、光損失も大きいことが課題となっていました。本研究では、化合物半導体の一種であるリン化インジウム(InP)とヒ化ガリウム(GaAs)を混ぜ合わせた四元混晶であるインジウムガリウムヒ素リン(InGaAsP)中の電子により誘起される屈折率変化のみを用いた光変調に成功しました。これにより光変調器の効率と損失を大幅に改善することに世界で初めて成功しました。半導体チップ上での光変調技術に全く新しい選択肢を与え、データセンターの高性能・省電力化に加えて、膨大な情報処理が求められる人工知能の発展に貢献することが期待されます。

 本成果は、英国科学雑誌「Nature Photonics」2017年7月24日(月)(英国時間)オンライン版にて公開されました。

本研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」プロジェクトから助成を受け実施されました。また日本学術振興会(JSPS)科研費 JP26709022からも一部助成を受けています。

 

 

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Nature Photonics : https://www.nature.com/articles/nphoton.2017.122

新エネルギー・産業技術総合開発機構 : http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100803.html