プレスリリース

2016.04.21

糸状菌の生合成ゲノム探索法により新規セスタテルペンであるastellifadieneを発見 ―理化学研究所のNMR共用事業との共同研究による成果― :応用化学専攻 藤田誠 教授ら

この度、東京大学大学院薬学系研究科の阿部郁朗教授、東京大学大学院工学系研究科の藤田誠教授、理化学研究所NMR施設の林文晶ユニットリーダー、張恵平研究員らの研究グループは、理化学研究所の文部科学省「先端研究施設共用・プラットフォーム形成事業」の活動の一環として、糸状菌の生合成ゲノム探索法を用いて、四環系セスタテルペンであるastellifadieneを発見し、化学構造と生合成の経路を明らかにしました。なお、本成果は東京大学の藤田教授が研究代表者をつとめる科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業(ACCEL)の一環で得られたものでもあります。

自然界には微生物が作り出す様々な構造を持つ天然有機化合物が存在しており、医薬として活用されています。最近では、北里大学大村智特別栄誉教授の先覚的な研究に2015年ノーベル生理学・医学賞を授与され、注目されました。有用有機化合物の探索を効率的に進めるために、現在では、微生物などの全ゲノムを決定し、未利用遺伝子を網羅的に研究する手法(ゲノムマイニング)がとられています。中でも、テルペン化合物には、抗マラリアの特効薬であるアルテミシニンや抗がん剤のタキソールなどのように、幅広い多様な生理活性を持ち、医薬品としても重要な化合物が多く含まれます。

今回、研究グループはゲノムマイニングを駆使して着目した、糸状菌Emericella variecolor NBRC 32302の生合成酵素遺伝子を麹菌Aspergillus oryzaeを宿主として異種発現させることで、新たなテルペン化合物astellifadieneを発見しました。この化合物について、理化学研究所の張研究員らによる超高感度NMR計測をもとに、その化学構造を決定した結果、 astellifadieneはこれまでに例がない6-8-6-5 縮合環を有する、四環系セスタテルペンであることが判明しました。astellifadieneの絶対構造は東京大学の藤田教授らが開発した結晶スポンジ法を用いたX線結晶構造解析によって決定されました。さらに [1-13C]- or [1-13C, 2H3]-酢酸ナトリウムを用いた同位体取込実験により、その生合成経路を解析し、astellifadieneの環化に至るメカニズムを明らかにしました。

 

 

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