プレスリリース

2016.03.11

Mg単原子層が金属とセラミックスの接合を強くする!-原子分解能分析電子顕微鏡で初めて見えてきた異材接合の原子メカニズム-:附属総合研究機構・マテリアル工学専攻 柴田直哉 准教授ら

東京大学 大学院工学系研究科 附属総合研究機構の幾原雄一教授、柴田直哉准教授、熊本明仁特任研究員、藤平哲也助教らの研究グループは、三菱マテリアル株式会社、日本電子株式会社と共同で、原子分解能走査型透過電子顕微鏡法(STEM)により、Al合金とAlN基板の界面に単原子層のMgが偏析し、界面接合を強化することを世界で初めて明らかにしました。AlとAlN等の金属とセラミックスの接合界面はハイブリッド自動車や電気自動車等に搭載されるパワーモジュール用絶縁回路基板の重要部位であり、本結果はより高性能且つ高信頼性絶縁回路基板を開発するための原子レベルの設計指針を与える重要な成果です。
金属とセラミックスの異種材料接合部材は、さまざまな構造部材、電子デバイス部品などに用いられています。中でも、ハイブリッド自動車などのパワーモジュール用絶縁回路基板には、AlとAlN基板等の金属とセラミック基板の接合体が利用されており、その強度、信頼性、耐久性などがハイブリッド自動車や電気自動車等の安定な駆動制御において極めて重要です。例えば金属としてAl、またセラミックス基板としてAlN基板を用いた界面接合では、少量の添加元素が引き起こすAlの融点降下を利用した界面接合が行われており、実用上はAl合金とAlN基板の界面構造の安定性が重要であると考えられます。そこで、不純物あるいは添加元素の効果を加味した更なる強固な界面の開発が必須の技術課題となりますが、今までAl合金とAlN基板という異なる材料が原子レベルでどのように接合するのかに関しては未解明な点が多く残されていました。
そこで本研究チームは、1Å(オングストローム、10-10m)以下の分解能を有するSTEM法と超高感度なX線分析手法を高度に融合することにより、Al合金/AlN基板界面における原子レベルの組成分布解析を行いました。その結果、Al合金とAlN基板の界面には、不純物であるMg原子が単原子層構造を形成していることを世界で初めて明らかにしました。また、この周囲には酸素(O)原子も層状構造を形成しており、数原子層レベルで複雑な界面層状構造が自己組織的に形成されることがわかりました。つまり、Al合金とAlN基板の界面は金属とセラミックスの単純な接合ではなく、本来は不純物であるMgやO原子が界面遷移構造を形成し、強固な接合を実現していることが明らかとなりました。本成果は金属とセラミックスを強固に接合するための原子レベルの指針を与えるものであり、今後のパワーモジュール用絶縁回路基板開発やその性能向上に大きく貢献することが期待されます。
本研究成果は、本成果は、英国の Nature Publishing Group(NPG)が発行する学術雑誌「Scientific Reports」 に日本時間3月10日午後7時付けで掲載されます。

 

 

 

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Abstract URL:http://www.nature.com/articles/srep22936