プレスリリース

<東京大学、山梨県富士山科学研究所が連携> 富士山で災害対策・減災活用を想定したローカル5Gシステムと 衛星インターネットアクセスサービスを接続する技術実証に成功

 

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(研究科長 染谷隆夫、中尾研究室・教授 中尾彰宏、以下東京大学)、山梨県富士山科学研究所(所長 藤井 敏嗣、以下富士山研)は、2022年11月19日に富士山5合目(山梨県富士吉田市上吉田5617)においてローカル5Gシステムと商用の低軌道衛星インターネットアクセスサービスと接続する技術実証に成功いたしました。

 

このことにより、ローカル5Gと低軌道衛星サービスを組み合わせることによって、「ユーザーがスマートフォン等ローカル5G対応端末で(山岳・海洋などの人口過疎地を含め)全国どこにいても、被災時などの有事でも通信が可能な「ライフライン」を一般事業者(自治体・大学・地場産業など)が、自ら構築することができる」可能性が示されました。

※本実証は、2021年6月3日に締結の東京大学大学院工学系研究科と山梨県の富士山の火山防災対策に関わる連携協定、及びNGCI(注1)の活動として実施しました。

 

富士山は年間20万人を超える登山者があり、国内外から数多くの観光客や登山者が訪れる国内有数の観光地である一方、気象庁による常時観測対象の活火山のひとつです。そのため、富士山では、噴火はもとより落石など様々な自然現象から被害を軽減し、安心、安全な観光を構築することが急務となっています。
総務省令和3年度「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」においては、ローカル5Gが安全・安心情報システムを整備する情報通信インフラとして有用であることの実証が行われました。本実証では、有事におけるローカル5G活用の情報通信インフラの有り方として、自営無線通信網として整備のローカル5Gに接続した端末(スマートフォンやモバイルルータやゲートウェイ端末等)がローカル5Gの先につながった衛星インターネットアクセスサービスを介し、インターネット通信ができることで、広く情報収集や、通信インフラ活用のコミュニケーションをとることを可能とする技術実証に成功しました。(注2)さらに、有事の際に通信が必要な場所に展開できるよう、システム全体を車等モビリティに独立して整備できることを確認しました。(注3)
これにより自営無線通信網としてローカル5Gで整備したエリアで衛星インターネットアクセスサービスを介し情報通信を利用可能とし、有事の復旧、減災活動での運用コンセプトモデルが実証できたことになります。
今後も東京大学と山梨県は火山防災対策に関わる連携協定、及びNGCIの活動として、5G/Beyond5G等次世代通信インフラを活用しつつ、火山防災対策、地域課題解決に取り組んでまいります。

 

 

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図1 ローカル5Gシステムと衛星インターネットアクセスサービスの接続の構成

 

 

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図2 8輪バギーへローカル5G、衛星インターネットアクセスサービスを
搭載した有事の復旧、減災活動での情報通信網の運用コンセプトモデル

 

 

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図3 東京大学と山梨県富士山科学研究所の実験メンバ、富士山5合目にて

 

 

注1:NGCI次世代サイバーインフラ連携研究機構
東京大学が発足した研究機構。サイバー空間を現実世界(フィジカル空間)と一体化させる知識集約型社会のバックボーンとして中核的な役割を担う5G/Beyond5Gをはじめとする次世代サイバーインフラ実現のための連携研究に取り組みます。
https://cyber.nakao-lab.org/

注2:富士山5合目での技術実証は東京大学と株式会社 FLARE SYSTEMS の共同研究に基づき同社が提供のローカル5Gシステム、取得の実験試験局免許を活用しました。

注3:現在のローカル5G免許制度においては有事の際の臨機の措置を除き、移動させてローカル5Gを運用することができないことに注意が必要です。

 

 

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