プレスリリース

隣り合わないスピン量子ビット間の量子もつれ生成に成功-半導体量子コンピュータの大規模化に道筋-

 

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター量子機能システム研究グループの中島峻研究員、樽茶清悟グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)、ルール大学ボーフム校のアンドレアス・ウィック教授らの国際共同研究グループは、三つの電子スピン量子ビットを擁する半導体量子ドットデバイスにおいて、隣り合わない(非隣接)量子ビット間に「量子もつれ状態」を生成・観測することに成功しました。
本研究成果は、半導体量子ドットを用いた量子コンピュータの大規模化に向けた基本設計の道筋を示したといえます。
今回、国際共同研究グループは、半導体量子ドット構造中に三つの電子スピン量子ビットを形成し、隣り合わないため直接相互作用のない量子ビット間で量子もつれ状態を生成することに成功しました。量子ドット間のエネルギー差を電気的に制御することにより、隣接量子ビット同士の量子もつれ状態を、その品質を保ったまま非隣接量子ビット間の量子もつれ状態に変換しました。通常、量子もつれ状態は環境の雑音に対して非常に脆弱ですが、逆に量子もつれ状態の生成効率を向上させるために雑音が利用できることも発見しました。
本研究は、英国の科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(5月30日付け:日本時間5月30日)に掲載されます。

 

 

プレスリリース本文:PDF ファイル

Nature Communications:https://www.nature.com/articles/s41467-018-04544-7

理化学研究所:http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180530_1/