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2020.08.27

【若手研究者紹介:040】機械工学専攻 熱工学研究室 徐 偉倫 講師



【経歴】
2007年6月 国立台湾大学工学部化学工学科 卒業
2009年6月 国立台湾大学大学院工学系研究科化学工学専攻 修士課程修了
2015年3月 メルボルン大学大学院工学系研究科化学および分子生物工学専攻 博士課程修了
2015年4月-2017年3月 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻 特任研究員
2017年4月-2019年3月 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻 助教
2019年4月-現在に至る 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻 講師

【研究について】
ポスト化石燃料時代およびポストコロナ時代においては、新たなエネルギー変換技術と新たな医療診断技術が望まれます。単原子層構造のような超薄膜構造におけるナノ細孔は、非常に高いエネルギー変換効率をもつ電気化学セル、超高感度な生体分子構造の検出のプラットフォームを提供します。しかし、原子レベルの材料特性およびナノ細孔内部の輸送現象は必ずしも十分に理解できているとは言えません。そこで、私たちはナノ細孔や多孔質材料のナノ空間内部の分子の挙動を理解することに取り組み、新しい物性や新しい現象を見出すことを目標に研究を行っています。ナノ空間内部における物質輸送現象に基づき、エネルギーと医療に関する研究を進め、新たな医療診断システム、半導体部品の冷却技術、省エネデバイスなどの応用開発に展開していきたいと思っています。現在取り組んでいる課題は:

  • 二次元ナノ細孔を用いた分子シーケンシングデバイスの開発:
    二次元材料にナノ細孔を作り、両側に濃度が異なる電解質水溶液を満たすと、イオンの輸送により電流が発生します。電解質水溶液にDNA / RNAを加えると、DNA / RNA分子が帯電したナノ細孔を通過するとき、イオン電流が抑えられます。このイオン電流の変化から、DNA / RNAの分子構造や帯電特性などの情報を読み取ることに成功しています。
  • 固体ナノ細孔を用いたナノバブル発生器の開発:
    ナノバブルは半導体部品の冷却や超音波造影などの応用技術において重要な役割を果たします。電解質水溶液が入ったナノポアの両側に電位差を印加すると、ジュール熱によってナノ細孔内部の電解質水溶液が沸騰し、ナノバブルが周期的に発生します。細孔径や印加電圧によって、気泡の大きさと発生頻度を制御することができます。
  • 金属有機構造体(MOF)を用いた次世代調湿器の開発:
    MOFは従来の乾燥剤と比較すると、優れた水吸着能力をもっています。また、MOFは規則的な細孔構造をもつため、特定の湿度範囲で一気に水を吸着し、ステップ状の吸着等温線を示します。また、特徴的な微分吸着熱を示します。これらの性質を利用した次世代調湿機の開発を行っています。



    【今後の抱負】
    ナノ空間内部の輸送現象を解明することに取り組み、新しいエネルギー変換技術と新しい医療診断技術を創成することに挑戦しています。また、これらの基礎研究に基づき、新規材料を用いた調湿機や電気化学セルなど、省エネでエコな装置を開発し、エネルギー問題を克服し、持続可能な社会の構築に貢献することを目指しています。

    【WEB】
    研究室:http://www.thml.t.u-tokyo.ac.jp/