トピックス

2020.07.30

【若手研究者紹介:036】応用化学専攻 植村研究室 細野暢彦 講師



【経歴】
2006年:東京農工大学工学部有機材料化学科 卒業
2008年:東京農工大学大学院工学府応用化学専攻 修士課程修了
2011年:東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻 博士課程修了
2011年:アイントホーフェン工科大学 博士研究員
2012年:日本学術振興会特別研究員(SPD)
2012年:アイントホーフェン工科大学 訪問研究員
2013年:カリフォルニア大学アーバイン校 訪問研究員
2014年:京都大学高等研究院物質–細胞統合システム拠点 特定助教
2018年:東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻 講師
2018年:東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻 講師(兼担)

【研究について】

高分子認識システムの開発
高分子化合物は我々の生活の様々な場面で利用されている重要な材料です。一般に高分子化合物の分子構造を合成化学的に完全制御することは難しく、この問題は現在も高分子化学者を悩ませ続けています。そのため皆さんの身の回りにある高分子材料(ポリマー)は、分子構造が少しずつ異なる様々な化合物の混合物として用いられているのが現状です。例えば、高分子の末端修飾反応はバイオサイエンスや材料開発において非常に重要ですが、理想的に末端変換反応が100%進行することはなく、除去できない未反応の高分子が必ず混在してしまいます。高分子の構造を精密に認識して、欲しい構造を持つ高分子だけ正確に分離する技術があれば、この問題を根本から解決することができると我々は考えています。
これまでも小分子の構造を認識し分離する方法は多く研究されてきました。しかし、高分子の認識は非常に難しく、従来の化学では太刀打ちできません。高分子は一般的に長い紐状の形をしており、様々な形(コンフォメーション)をとることができます。そのため、従来の分子認識の手法では、その長く大きな構造に隠された小さな違いを識別・特定し、分離することはできませんでした。
我々は、多孔性金属錯体(Metal–Organic Framework: MOF)と呼ばれる多孔性結晶が持つナノサイズの空間を利用し、高分子認識の実現へと挑戦しています。高分子認識技術が開発されれば、これまで精製が困難であった様々な高分子素材群の純度を飛躍的に向上できるだけでなく、これまで手にすることができなかった特殊な構造を持つ高分子を得ることのできる革新的な合成技術にも繋がります。



【今後の抱負】
我々の研究で高分子認識をより身近な技術として実現させることで、誰でも・簡単に・完全に構造制御された高分子を手にすることができる未来をつくりたいと考えています。

【WEB】
研究室:http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/uemura/
細野暢彦HP:https://www.nhosono.com/